今月14、15日、横浜市で「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」が開かれた。昨年の東京電力福島第一原発事故に伴って福島県から避難をした住民をはじめ、世界各国のNGOや研究者、弁護士、ジャーナリスト、自治体首長らが参加した。

期間中は1万1500人が来場、「GLOBAL CONFERENCE FOR A NUCLEAR POWER FREE WORLD」(核のない世界に向けた会議)という英文副題の通り、脱原発だけでなく、核実験廃絶や環境問題のNGOなども参加して、講演会やパネルディスカッション、ワークショップなど様々な催しが行われた。開幕前日の13日には、海外ゲストを中心とした福島県内の視察があり、参加者が現地の被災者の声を聞いた。海外からの出席者に、福島県内視察の感想、世界各地の非核・脱原発の現状と課題、フクシマの人々へのメッセージを聞いた。
日本は「原発事故の被害国」と同時に「原発輸出国」
ケニアの公衆衛生の専門医で、核戦争防止国際医師会議ケニア支部事務局長のポール・サオケさんは福島県内の視察に参加した。福島県北部の伊達市内の仮設住宅の様子や、住んでいた飯舘村が高線量のホットスポットになったために同市に避難中の元酪農家・長谷川健一さんの講演などを、iPad を使って次々に動画で撮影していた。
サオケさんは環境のための国際医師連合アフリカ地域副理事長も務め、アフリカの非核・非原発に向けて活動している。アフリカ全土では核兵器廃絶宣言がなされたが、「非核と原発は別」と、南アフリカでは原発が稼働している。そのほかの国でも、経済成長を目的とした原発輸入に向けた政府の動きは加速しているという。

ケニア政府も今後10〜15年後を目途に原発建設・稼働の方針を示し、海外からの原発の売り込みは激化しているという。日本国内ではほとんど大きなニュースになっていないが、鳩山元首相は来日したケニアのオディンガ首相との会談で、原発を売り込むトップセールスをしたことがブルームバーグにより報じられている。
「遠く離れたアフリカにまでも、アジアの先進国・日本は政府を挙げて原発を輸出しようとしている」。サオケさんの眼に映る「ニッポン」は、東電の福島第一原発事故による住民被害が起きた悲劇の国であると同時に、海外へも積極的に原発を輸出しようとしている“警戒すべき”国。公衆衛生の医師としては、今後、住民への健康被害がどのように現れるのか、注視すべきエリアでもある。
「フクシマの原発事故が起きた今が、日本国内だけでなく、海外にとっても、脱原発に向けた非常に重要なタイミング。この機会を逃してはならない。原発ができれば、使わなくてもいい電気を無理やり使わされるような状況や、環境への影響が懸念される。そういった実情も、(ケニアの人々に)大いに知ってもらう必要がある」。
「ケニア国内では、福島第一原発事故のことはほとんど知られていないのが実情。それだけに最も重要なステークホルダーを『メディア』と位置付け、今回撮影した動画は、まずはメディアの人たちに見てもらって、原発事故の後で住民がどのような困難に直面するのかを理解してもらおうと思っている。この映像は、各メディアが自由に使えるように提供していきたい。映像で見て知ってもらうことによって、状況は変えられると思う」。世論喚起を図る考えだ。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



フリーランスの医療ジャーナリスト。福島県福島市生まれ。福島民友新聞社で取材記者兼デスクをした後、国会議員公設秘書を経て、現在、取材活動をしている。米国マイアミ大学メディカルスクール客員研究員として米国の移植医療を学んだ後、フィリピン大学哲学科客員研究員、アテネオ・デ・マニラ大学フィリピン文化研究所客員研究員として、フィリピンの臓器売買のブローケージシステムを調査した。現在は福島を拠点に、東日本大震災を取材、報道している。フルブライター、東京大学医療政策人材養成講座4期生、日本医学ジャーナリスト協会員。

からのご案内




