フランス国債の格下げが「メルコジ」体制を揺さぶりそうだ。ドイツは安全網の拡充に一段と慎重になる可能性がある。独主導で対応が遅れれば、欧州債務危機はさらに長引くことに。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は13日、フランスなど欧州9カ国の国債格付けを引き下げた。発表後の週明け16日、ユーロは売りが強まり、対円では一時1ユーロ=97円近辺と、11年ぶりのユーロ安・円高水準を改めて更新した。市場がまず不安視したのは、欧州連合(EU)の金融安全網である欧州金融安定基金(EFSF)の支援余力の低下だ。
EFSFの資金余力は、これまで最上のトリプルA格だったドイツやフランス、オーストリア、オランダ、フィンランド、ルクセンブルクの6カ国による政府保証にほぼ相当する約4400億ユーロあった。だが、フランスに加え、オーストリアも格下げされ、余力は約2600億ユーロに減衰してしまう計算だ。S&Pは16日、EFSF自体の信用格付けもトリプルAから引き下げた。
そうなると、残されたトリプルA格の国がEFSFへの保証枠を拡充するか、国際通貨基金(IMF)や欧州中央銀行(ECB)による新たな支援枠に期待するしかないのが実情だ。だが、今回の格下げは、こうした追加スキームの手を縛る副作用も強めかねない。
これまでEUの中で救済策の議論を主導してきたのはドイツとフランスだ。アンゲラ・メルケル独首相とニコラ・サルコジ仏大統領は対等な立場で幾度となく会談を重ね、「メルコジ」体制を形成してきた経緯がある。しかし、フランスが最上格を失ったことで、今後は相対的に立場が強まると見られるドイツの独壇場もあり得るわけだ。

ドイツは「ユーロ共同債構想」など一連の救済スキームの強化に慎重な姿勢を示してきた。南欧を中心とした財政悪化国の支援を簡単には許容しない独国民の声が背後にある。「問題を一夜で解決することはできない」(メルケル独首相)との姿勢を崩さないドイツが主導権を握ることになると、欧州債務危機への対応に時間がかかりかねないとの警戒感が強まることになる。
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