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経営新世紀〜ITが生み出す企業競争力〜

少量多品種のものづくりを、ITによる統合管理で効率化〜事例:谷田合金(前編)
IT活用を競争力強化に結び付けるための方法とは――。その具体例として前回の備後ムラカミ(福山市)に引き続き、「IT経営百選」2006年度最優秀企業の中から、今回は谷田合金(金沢市)を紹介する。アルミ・マグネシウム鋳物の鋳造から加工までを一貫して手がける谷田合金は、試作品や少ロット生産品の分野での高い技術力が評価されている。品質だけでなくスピードにも強みを持ち、業績は急拡大中。その成長を支えているのがITである。

F1やモトGPなどのレース向けにエンジン部品を供給

 北陸は伝統的な金属加工の産地である。富山県高岡市の銅鋳物は有名で、富山平野にはアルミサッシなどの工場も多数立地している。その隣、石川県金沢市にも試作品や少量生産品の鋳造・加工で高度な技術を持つ企業がある。谷田合金である。

 谷田合金は1955年の創業。当初は銅の鋳造を行っていたが、次第にアルミ合金も手がけるようになった。現在ではアルミとマグネシウムの素材に絞って鋳造と加工を行っている。

 鋳物製造のプロセスは、素材となる金属を溶かして型に流し込み、その型から取り出した部品を高性能のマシニングセンターなどを用いて設計通りの形状に仕上げていくというもの。谷田合金では、自動車産業などのニーズに対して“1個もの”の試作品を生産する一方、ロボットや半導体装置といった少量生産品向けのパーツも手がけている。

 谷田合金の技術力は、業界でも高く評価されている。例えば、世界最高峰のオートバイレースと言われる「モトGP」に出場する複数チームのエンジンの主要部分の製造を、同社で引き受けている。高いレベルの要求に対応する技術力は、逆境の中で磨かれたものだ。同社の谷田由治社長は次のように説明する。

 「創業者である父親から私が会社を引き継いだのは1977年ですが、実はそのころは試作や少量生産品のほかに選択肢がありませんでした。数が少なく技術的に難しい仕事は、通常は敬遠されます。そうした仕事を積極的に引き受けたことが、技術力の向上、そして多くの大手企業との取引に結びついたのかもしれません」

鋳造から加工までの一貫生産で短納期の注文にも対応

 技術力だけでなく、鋳造から加工までの一貫生産という強みもある。通常、鋳造と加工は別の企業が担うケースが多い。プロセスが途切れていると、その間に輸送などの時間がかかる。途中で問題が発生した場合には、プロセスをまたいで即座に対応することは難しい。1つの敷地内で一貫生産を行っている谷田合金なら、超短納期の注文にも対応することができる。製品開発のリードタイム短縮を迫られている製造業にとって、谷田合金は貴重な存在だ。

 こうした競争力を磨くことで、業績も急拡大している。2004年度には10億円に満たなかった売上高は、2006年度に13億円余り。その間に、経常利益は3500万円から1億円に増加した。従業員数も毎年増えており、現在の社員数は57人で、そこに派遣社員30人ほどが加わる。

 同社のこうした成長を支えているのがITの活用である。谷田氏は「ITの有効利用がなかったら、10年前に倒産していたでしょう」と語る。それほどITは業務に深く浸透し、同社の競争力向上に役立っている。

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