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経営新世紀〜ITが生み出す企業競争力〜

少量多品種のものづくりを、ITによる統合管理で効率化〜事例:谷田合金(後編)
技術力とスピードに強みを持つ谷田合金には、営業部門がない。ホームページを見た新規顧客から多くの注文が入り、その比重は急速に高まっている。また、ものづくりの繊細な技術を標準化してデータベースに蓄積したことで、職人もほとんどいない。生産管理の仕組みを整備して在庫ゼロも実現した。一連の効率化の根底には、「働きやすい環境をつくりたい」という経営者の思いがある。

IT活用で実現した「営業不在・職人不在・在庫ゼロ」

 1997年、谷田合金はホームページを開設した。以来、それを見た顧客からの引き合いや注文が増えている。新規受注のほとんどはホームページ経由で、こうして開拓した顧客の比重は次第に大きくなっている。販売チャネルの拡大は営業コストの抑制という効果もあるようだ。

 「昔から営業部門はありませんが、ホームページを見た方からの問い合わせに対応するスタッフは何人もいます。現在では、継続的な取引も含めれば、ネット経由で入ってくる注文は全体の3分の2程度。とはいっても、すべてがネットで完結するわけではありません。先方からの訪問はよくあります」(谷田合金社長・谷田由治氏)

 新規注文を出そうとしている企業が、谷田合金がどのような会社かを知りたいと思うのは当然だろう。実際に設備や工程の様子を見なければ、なかなか安心できないものだ。また、継続取引であっても、重要な場面では顧客企業の担当者などが来訪することがある。

 このようなホームページの機能は重要だが、営業部門を持たなくても業績が拡大している本質的な理由は、いうまでもなく高品質や短納期といった基本的な競争力である。「技術しかない会社と言われたい。つまり、技術だけで成り立つ会社にしたい」と口にする谷田氏は、その基本的な競争力をさらに磨こうとしている。

 谷田合金にないのは営業部門だけではない。通常であれば存在する重要なものが、あと2つ存在しない。職人と在庫である。

 まず、職人について。社員の平均年齢は30代前半で、工場では若い従業員の姿が目立つ。

 「加工については最後の仕上げなどで、若干職人技が必要な部分も残っています。しかし、全体の8〜9割はマニュアル化できました。また鋳造工程では職人の感覚を標準化・数値化し、マニュアルを見れば誰でも作業ができるようにしてきたので、今では職人はいなくなりました。昔は材料の中に多くの不純物が含まれていたので、どうしても職人に頼らざるをえない面がありましたが、最近は材料の質が向上しています。センサーも発達しているので、マニュアル化しやすくなりました」と谷田氏は説明する。標準化・数値化された職人技は、今ではデータベースに蓄積され共有されている。

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