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経営新世紀〜ITが生み出す企業競争力〜

テレワークを定着させるための課題〜日本企業のマネジメントが問われている
少子高齢化、地域活性化といった様々な社会的課題に対して、テレワークが有効な解決手段となりうることを前回は説明した。今回は、実際に企業がテレワークを本格導入する上での課題を考えてみたい。成功事例を形だけ模倣しても、成功はおぼつかない。ポイントは制度づくり、そして制度を運用する人間にある。また、それらを含めて日本企業のマネジメントのあり方そのものが問われている。トップマネジメントとミドルマネジメントそれぞれに、現在何が求められているかを探った。

テレワークの一形態としてのオフショアリング

 前回、テレワークの様々な可能性について説明した。とはいえ、テレワークが必ずしも「バラ色の未来」を約束しているわけではない。一方では、社会的な課題を投げかけていることも事実だ。例えば、オフショアリング。遠隔地での共同作業であり、国境を越えたテレワークと捉えられるが、東京工業大学の比嘉邦彦教授は次のように語る。

テレワークとは

 「テレワークの中には、当然国境を越えたサービスのやり取りもあります。米国のIT産業がインドなどにソフトウエア開発の仕事を発注するオフショアリングも、その一形態と言えるでしょう。しかしそれにより、米国では雇用の海外流出が問題になっています。こうした状況を見越して対策を打っていなかったから深刻化したという面もあります」

 これに対して、EUでは10年以上前から研究や準備を進めており、米国ほどの問題には至っていないという。では、日本はどうか。オフショアリングはそれほど浸透しておらず、その理由としては日本語の壁、プロジェクトの進め方の違いなどが指摘されている。しかし、将来は米国と同じような方向に進まざるを得ないと比嘉氏は見ている。

 「海外の優秀な労働資源を日本企業だけ活用できないということになれば、コスト高だけでなく品質低下をも招くでしょう。日本企業の競争力そのものに関わることです。しかも日本の労働人口は今後減少しますから、オフショアリングを避けて通ることはできないでしょう」

今、求められるテレワークの制度化

 海外へのオフショアリング以上に重要と思われるのは、国内でのテレワーク活用。企業競争力だけでなく、こちらは国民一人ひとりの経済生活や社会参加にも直結するテーマである。ブロードバンドの普及によって大きなボトルネックの1つが解消されつつある現在、何がテレワーク拡大の課題になっているのだろうか。比嘉氏はこう答える。

 「国土交通省の調査によると日本のテレワーク人口は2500万人で、かなり浸透していることになります。しかしその多くが、自宅に仕事を持って帰るいわゆる“風呂敷残業”。働いている人たちの満足度は高いのですが、制度として位置付けられていないことが問題です」

 法制度や企業内の制度が、多様な働き方を求める世の中、そして個人に追いついていないということだろう。例えば、先日話題になった「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、比嘉氏は次のような考え方を示している。

 「ホワイトカラー・エグゼンプションにはメリットもデメリットもありますが、うまく使えばテレワークを一歩進めることができるでしょう。現状のような時間単価で賃金を決める仕組みは、すでに時代に合わなくなっています。どのような形で法制度が見直されるにしろ、それを経営者が悪用しないように、労働組合などが積極的に制度づくりに関与すべきだと思います」

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