by 大日本印刷

“整備されたデータ”が支える食品マーケティング

ビッグデータで「未来のあたりまえを作る。」(4)

2014.08.26

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「未来のあたりまえ」とは、まだかたちになっていないけれど、いつの日か生活やビジネス、社会の課題解決に必要となるものやサービスのこと。本稿では、メーカー、卸、小売りが熾烈な競争を繰り広げる食品マーケティング分野において、すでに15年以上の運用実績があるビッグデータ活用の姿を紹介する。

マーケティングのゴールは、商品の利用シーン

 人が生きていく上で欠くことのできない、“食”の世界。その消費動向を解き明かす取り組みは様々な視点から行われているが、食材、調味料、調理済み品など商品のレイヤーが多岐にわたるうえ、個人の嗜好や季節・天候の影響など考慮すべき因子が膨大で、非常に難易度が高いものとされていた。

 ID-POSの登場により購入した事実を記録できるようになったが、それだけでは、単に仕入れてなかったために売れなかった“売り逃し”を見つけることはできない。食品が購入され、冷蔵庫等で保管され、他の食品とともに調理されて食卓に登場することで初めて、商品のライフサイクル全体を把握できるのだが、その部分はブラックボックスのままとなっていた。

多次元クロス集計で高精度のビッグデータ分析を実現

 こうした課題をクリアし、食品マーケティングにおける事実上のスタンダードデータとなっているのが、多次元情報システム「食MAP(しょくマップ)」だ。

 その肝となるのが、首都圏在住の主婦360名から集められる毎日の購買・食卓情報。商品名を指定するだけでメタデータが自動入力されるなど、“データを集める仕組み”に工夫があり、データの正確性を担保している。

 分析手法としては、上記データに詳細なモニター属性、生活イベント、天候、JANコードなどを絡め、ツリー状の多次元クロス集計を実施。層化二段無作為抽出法によるサンプリングで、単純なネット調査では導き出せない精度の分析を実現している。1998年の商用化以来、これまでに蓄積したデータは約10億レコードと、質量ともに最高峰のデータベースを築き上げている。

消費価値観との組み合わせで、購買予測をシミュレート

 さらに同システムでは、DNPの価値観データベースに別途収集された情報を活用している。今回の分析では価値観データベースの情報の一部である普遍的な消費価値観を用い、生活者を「人生謳歌クラスター」「ハイクラス志向クラスター」などのクラスターに分類した。(価値観データベースをもとにした価値観クラスターについては、「ユーザーインサイトの把握とユーザーエクスペリエンスの向上」参照)

 このクラスターを企業の会員情報と照合することで、会員の食生活スタイルを予測することができる。つまり、これまで購入したことはないがその会員の食生活スタイルに合っていると思われる商品をリコメンドすることが可能となるわけだ。

 例えば、クラスターで分類した主婦の食卓づくりの傾向を“夕食を家で食べることが多いか”と“家族で楽しめる夕食の割合が高いか”の2つの軸でプロットすると以下の図のようになる。この2つの軸は食MAPのデータを使用している。

 「人生謳歌クラスター」の主婦は、自宅において家族みんなで楽しく夕食を食べる傾向、「ハイクラス志向クラスター」の主婦は、家で楽しむより外食するといった傾向が見える。このように、主婦の消費価値観が日々の食卓づくりに現れていることが把握できるようになる。

夕食を家で食べる割合 × 家族みんなが楽しめる食卓にした割合
食MAP(分析期間:2013/6/1~2014/5/31、食卓機会:夕食 ※全期間有効モニター条件)

 消費価値観により食生活スタイルが違うと、当然利用する食材にも違いが現れてくる。

 「人生謳歌クラスター」タイプは調理済み冷凍食品の利用が平均より多いが、惣菜の利用は少ない。一方で「ハイクラス志向クラスター」タイプは冷凍食品が少なく惣菜が多いのが特徴。こうして、消費価値観から食生活スタイルを分析し、利用食材・商品の特徴を明らかにしていくことができる。

調理済み冷凍食品を利用する割合
TI値=Table Index:1000食卓当たりの登場数
食MAP(分析期間:2013/6/1~2014/5/31、食卓機会:夕食 ※全期間有効モニター条件)
惣菜を利用する割合
TI値=Table Index:1000食卓当たりの登場数
食MAP(分析期間:2013/6/1~2014/5/31、食卓機会:夕食 ※全期間有効モニター条件)

テクノロジーだけでは測れない生活者のリアルを求めて

 ビッグデータがビッグデータのままでは活用し得ないというのは自明だが、今回紹介した食品マーケティングの事例は“整備されたデータ”を抽出するひとつのアプローチとして興味深い。

 モニター調査という一見アナログな手段をベースに、普遍的価値観を組み合わせることで、より市場の実態に近い分析を指向するという視点。テクノロジーや分析理論の追求だけでは到達し得ない生活者のリアルが、そこに隠されているのかもしれない。

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プロフィール

DNP大日本印刷は、最先端の印刷技術と情報技術を保有する世界最大規模の総合印刷会社です。「未来のあたりまえを作る。」というコンセプトのもと、企業や生活者、社会の課題を解決する新しい製品やサービスの開発に努めています。
生活者の価値観が多様化し、日々膨大な情報が蓄積されている現在、彼らの姿を正しく把握することは、もはや一企業でできる範囲を超えているといっても過言ではありません。
DNPはそうした企業のパートナーとして”ロジック&エモーション”で生活者と企業をつなぐビッグデータ時代の新しいコミュニケーションデザインを提供します。

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