by 日本テラデータ

第1回 予想外の新たな収益は、ビッグデータから生まれるのか?

ビル・フランクス 米テラデータ 最高アナリティクス責任者

2015.05.26

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ビッグデータ分析から「稼ぐ力」を生み出すには? このテーマを深掘りするために、米テラデータでアナリティクスに造詣の深い識者が10回にわたって連載を執筆する。初回である今回は、最高アナリティクス責任者(Chief Analytics Officer)であるビル・フランクスが、ビッグデータの収益源を解説する。

 どのような規模の企業でも、価値へとつながる予想外の新たな道を切り開いてくれる驚きを求めて、常に目を光らせていなければならないし、特に目新しいことではない。それを「セレンディピティ」と呼ぶ人もいる。Wikipedia(英語版)の「セレンディピティ(serendipity)」の項目では、セレンディピティがビジネス、自然科学、テクノロジーの分野で果たす役割についてのセクションまでもが設けられている。しかし私は、こう言いたいのだ。ビッグデータの時代がこの力学を最前線にもたらしたのは、幸運から生じた結果ではなく、成長のための戦略としてのものであったのだと。企業では、データの活用方法や構築する分析プロセスを増やし始めるのに応じて、仕事や業務を開始した時点では全く意識していなかったような、新たな機会を発見することが可能になっている。

 私自身が身を置く業界の例を1つ紹介しよう。米カグル(Kaggle)のWebサイトを見れば、同社が自社のことを「The Home of Data Science(データサイエンスのホーム)」と呼んでおり、10万人を超えるデータ・サイエンティスト・コミュニティーからのクラウド・ソーシングの力を基盤として、いくつかの分野に重点的に取り組んでいることが分かる。例えば、カグルでは、「エネルギー業界のスペシャリスト」を石油会社に紹介し、新しい油井への投資をどこでどのようにすべきかを決定する際にビッグデータを活用するための支援をしている。また、予測モデリングや機械学習を選び出し、データから得られる最大限の予測力を企業に与えている。

 面白いことに、カグルはもともと、データサイエンスの才能を持つ人は希少で、企業はそのようなスキルを切望しているという、2つの側面を持つ市場に貢献していたわけではなかった。現在の顧客対応型の重点分野は、カグル開業時の分析集中型の課題解決コンテストの運営という、より基本的なビジネスモデルから発展したものだ。カグルの初期のビジネスモデルは、あらゆる種類の組織にデータセットと課題を投稿させ、ソリューションを公募して勝者には賞金を出す、というものだった。カグルは、今でも同様のコンテストを開催しており、自社Webサイトの目立つ場所でそのようなサービスを展開している。しかし同社はそのうち、コンテスト参加者のデータベースが別の目的でも利用できることに気付いた。

 カグルのCEO(最高経営責任者)であるアンソニー・ゴールドブルーム氏と最近話したところ、同氏はこう説明してくれた。ある瞬間ピンときて、今までコンテストには100カ国超、200校以上の大学からの参加があったのだから、参加者のデータベースは就職斡旋サービスに活用できると気付いたのだと。カグルの豊富なデータベースには、分析プロフェッショナルに関する基本的な人口統計学的特性のデータだけではなく、参加したコンテストの種類やそこでの成績に基づいた、それぞれの専門や能力に関する多くの情報も格納されている。この全く新しいビジネスモデルが可能になったのは、カグルの貴重なデータ資産があったからだ。結果として、カグルは「Data Science Jobs Board」を立ち上げ、成長し、今ではデータ分析界のモンスターサイトとなった。企業は、カグルが運営する「世界最大のデータ・サイエンティスト・コミュニティー」に料金を支払い、求人情報を投稿している。

 私が言いたいのは、カグルが課題解決コンテストを始めていなかったら、コンテスト参加者データベースを作ることは決してなかっただろうし、そのデータベースが、専門的ソリューション・プロバイダーとして、そして活気あふれる求人サイトのホストとしてさらに革新を進めるのに一役買うこともなかっただろうということだ。

新しい価値を生み出すビッグデータ活用

 新しい予想外の価値を生み出すためにデータと分析が活用された同様の事例は、ますます多くの業界において始まっている。ブラックボックス・スタイルの車載センサーは、エンジントラブルを検知して故障を防止できるだけでなく、保険会社が事故を調査したり保険料を設定したりする際にも役立っている。米UPSやその他の運送会社が利用している車両GPS(全地球測位システム)システムは、荷物の場所の追跡に非常に役立っているが、燃料費と人件費を削減するための将来の経路を最適化するアルゴリズムへのフィードも行っている。農業の最前線では、最新型トラクターから収集されている温度、地形の傾斜、耕運機の設定などに関するデータを、予測保全分析や保証コンプライアンス分析などの運用上の課題のために利用することが可能になっている。しかし、その情報は、1つの特定の道具を世界中の農業従事者がどう利用するか、それが収穫高の最大限向上や、飢えで苦しむ人々への食糧供給にどのような意味を持つかという、より広い視野の中に織り込むことも可能である。

 データの収集方法や利用方法がますます多様化していること、そして私たちがチャートを使って図示する方法や世界を認識する方法が変化していることについては、今後も取り上げていく予定だが、それまでの間の課題として質問しよう。まず、自分のデータが資産であると考えてほしい。市場エコシステムの中で、または市場エコシステムの域を越えた所で、そのデータから恩恵を受けることのできる人は誰だろうか?

 最後に、製品およびサービスを作り出すための自分独自の新しい革新的な方法として、データを活用して新たな価値を生み出すものをいくつか考えてほしい。私のTwitterアカウント(@billfranksga)に、ぜひアイデアを送ってほしい。そして議論を共有しよう。


ビル・フランクス

米テラデータ
最高アナリティクス責任者(Chief Analytics Officer)

長年にわたり、分析に関わるコンサルタント、講演、ブログを発信し、ビッグデータやアドバンストアナリティクスの世界における最新情報を提供し企業の意思決定を支援している。著書には『最強のビッグデータ戦略』『The Analytics Revolution』。インターナショナル・インスティテュート・フォー・アナリティクス(International Institute for Analytics)で客員研究員を務める。

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プロフィール

テラデータは、データ分析ソリューションのリーディングカンパニーです。米ガートナーによる2015年マジック・クアドラントにて、分析のためのデータ・マネジメントの分野で「リーダー」ポジションを獲得。テラデータの分析エコシステムに関するビジョンの完成度と、実現能力が高く評価されています。分析環境の考案、設計、実装、最適化するための支援を求めるお客様に、テラデータは最先端技術と各業界に精通した経験、実績でサポートしています。
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