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「絶対に読まないのは経営の本」 ~キリンビール・松沢幸一社長

「浅田次郎が好きですね」

2012年1月18日(水)

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 僕はもう雑学でね。ジャンルは決まってないんですよ。強いていえば、ちょっとフィクションが入った歴史時代小説が一番好きですね。

キリンビール・松沢幸一社長(写真:的野弘路、以下同)

 例えばこの『一刀斎夢録』。主人公は斎藤一という新撰組の生き残りで大正時代まで生き残った人。ずっと新撰組で会津まで戦って逃げて、北海道に行ったり、あと東京で警視庁の警官をやったりしてね。浅田次郎が好きなので、『壬生義士伝』もいい。短編で軽妙な作品もあるけど、骨太に1人の生き方を描いているのがいいですね。

 まあ、面白そうな本を手当たり次第に読んでいるという感じです。絶対に読まない本はいろいろな経営の本。自分に役に立つとか、そんなことを考えたら、読み続けられない本ってあるでしょう、途中までで。それはもうすぐやめた方がいいですよ。

 昨年読んだところでは、やはり吉村昭の『三陸海岸大津波』。暗い空に、遠くの方で海がほとばしってくるという、あの描写の迫力はすごい。

 1993年頃の夏に家族で気仙沼から唐桑半島を巡って、志津川の民宿に2泊したことがあってね。日本一おいしい料理を出すんだと言って、夕方、いけすにご主人が船で採りにいって、ウニやアワビだとか、みんな生きたのがこんなに出てきてね。それでキリンラガーの大瓶が出てきて。防波堤がすぐ海側にあって、あれがみんななくなっちゃっているんだね、写真で見たらね。

 この本にもあるけど、津波は明治29年と昭和8年の例をみるだけでも、やっぱり起きているんですよね。だけど世代を超えたところに、なかなか伝わっていってない。やっぱり伝えなくちゃ。そこで生きるということはどういうことかを伝えなくちゃいけないところがあるんじゃないかな。

 東日本大震災ではうちも仙台工場が相当やられました。あの工場は1923年、大正12年5月にキリンビールの工場になったんですよ。その年の9月1日に横浜工場が関東大震災で壊滅した。そのとき26人横浜で亡くなりました。

 今の横浜工場がある新しい場所で出荷再開したのが2年9カ月後の、大正15年6月。それまでは4カ月前にキリンビールになったばかりの仙台工場と尼崎の工場の2つで全国を支えたんですね、88年前。今回、仙台は大変だったけど誰もけがもしてないし、物的な損害は多大なものがあったけど、乗り越えていけない困難じゃない。この88年前の困難を乗り越えた先人の労苦とともに、こうした歴史はぜひ次世代の人に伝えていかなくちゃいけない。

 司馬遼太郎は『二十一世紀に生きる君たちへ』という小学生向けの本の中で、こんなメッセージを子供たちに残してるんですよ。21世紀にはもう私は生きられない、21世紀はあなたたちが生きるときだ。でも人間の歴史というか、過去にやってきたことってきっと歴史の中にあるから、しっかり見つめながら新しい時代をしっかり生きてね、と。やっぱり歴史って忘れたらいけないし、絶えず我々が生きていく、そういうヒントもあるんじゃないかな。

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牛島 信 弁護士