前回までのあらすじ
MTCで働いていた金子順平は、マレーシアのタンの会社に移り、タンのもとで暮らしていた沢口萌と再会した。金子は、タンの会社で新たな研究を始めるつもりでいた。
ある日、金子の携帯電話に聞き覚えのある声の電話が掛かってきた。かつて金子が勤めていたジェピーを追い出され、現在はジェピーを買収したUEPCにいる間中だった。
間中は、金子をスカウトしにマレーシアまでやってきた。間中は「マレーシアで団を待ったって、来やしませんよ」と金子に言った。金子は耳を疑った。
日豊自動車の社長に復帰した湯浅は、会計士の西郷と定期的に話をする機会を作っていた。湯浅は、ポスト電気自動車の市場でトップ企業になりたいと考えていた。
湯浅は、電機大手の不振のサニック社とアップルの決算を見て、両社の営業キャッシュフローの差が8倍近くもあることについて疑問を持っていた。
西郷は、「スピード」がその差の理由だと語った。
西郷と湯浅
「スピードって、新車を開発するスピートのことでしょうか」
経営で最も大切な点はスピートだと西郷に言われたことに対して、それは車のライフサイクルを早めることではないかと湯浅は思っていた。
「長期的に見ればそういう事ですが、ボクが申し上げたいのは現金の回転スピードです」
西郷はカバンからレポート用紙を取り出すと、ボールペンでCCCと書いた。Cash Conversion Cycle(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の頭文字だ。
「現金循環化日数、と日本語では訳されています。この日数を短縮することが新しい経営モデルになっているんです。スティーブ・ジョブズはこの指標を使ってアップルを世界最強の企業に育てたんです」
「もう少し詳しく教えていただけますか」
湯浅は身を乗り出した。
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