• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

私たちは痛みを感じる以上に恐怖を感じるのである

【13】事故

  • アラン

  • 村井 章子

バックナンバー

2012年5月14日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

【12】ほほえむから読む)

今日の一言

現在だけの苦痛なら何ほどのこともない。私たちは痛みを感じる以上に恐怖を感じるのである。

 あの恐ろしい転落事故のことは、誰もがしばし考えたことだろう。大型車の車輪が外れ、おそらく最初はゆっくりと傾き、奈落の上に一瞬だけ宙吊りになる。不運な犠牲者たちはこの世の者ならぬ悲鳴を上げる……。

 こうした場面を思い描くのはむずかしくない。中には想像の中で、落下の始まりや衝撃までの時間を感じる人もいる。だがこれは、あれこれ思いめぐらすだけの時間があるからこそできることだ。だから、出来事をなぞり、恐怖を味わい、落ちることをちょっと止めてそれを想像してみたりする。昔ある女性が言ったように「どうせ死ななければならないのにあらゆることを怖がる」のである。

 現実の出来事に襲いかかられたら、幸いにも考えている余裕などない。一瞬を次の一瞬とつなぐ鎖は断ち切られ、激しい苦しみも一瞬で吹き飛び、感じることさえできない。現実の恐怖は意識を眠らせる。麻酔薬は意識の表層を眠らせるだけで、さまざまな器官は勝手に働いて勝手に苦しんでいるらしいのだが、その苦しみの総和はわからなくなる。恐怖もその働きをする。

 苦痛というものは見られたがりである。誰にも見てもらえず考えてももらえないときは、苦痛は全然感じられもしない。一瞬で過ぎ、忘れ去られる苦痛は苦痛とは言えまい。苦痛は、こちらが予想し待ち構えることによって、苦痛の時点より後だけでなく前にも長引くからこそ苦痛なのである。歯痛がまさにそうだ。現在だけの苦痛なら何ほどのこともない。私たちは痛みを感じる以上に恐怖を感じるのである。

コメント0

「「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」毎日読むアラン『幸福論』」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員