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習慣は偶像と似ている

【30】習慣

  • アラン

  • 村井 章子

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2012年6月6日(水)

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【29】運命についてから読む)

今日の一言

習慣はこちらが従うから威力を発揮するという点で、偶像と似ている。

 警察は飲んだくれをまともな人間にするために、誓約書を書かせる。こうして行動を形に残すわけである。だが学者はこのやり方を信用しない。習慣や悪行はもともと決定づけられ、しっかり根を下ろしている、と彼らは言う。そして物質の知識に基づいて理論を展開し、鉄や硫黄が固有の性質を持つように、人間もあらかじめ行動特性が決まっていると言いたがる。だが私はそうは思わない。鉄は、鍛えられたり延ばされたりするためにその性質を備えているわけではないし、硫黄も、火薬や弾薬にされるためにその性質を備えているわけではなかろう。人間の善行も悪行も、本来的な性質に由来するのではないと考えたい。

 人が酔っぱらいたくなるのはよくわかる。飲みたくなるのは習慣なのであって、いつも飲むから飲む、飲めばまた飲みたくなる、という具合で理性を失ってしまう。だが飲みたくなる最初の理由は瑣末なことなのだから、そこで酒を断つと決心すれば、やめられるはずだ。その後はこのささやかな努力によって、まるで20年来水しか飲んで来なかったように、酒を控えられるだろう。

 ただし、逆も起こりうる。禁酒をしていたとしても、ふとしたはずみでたちまち飲んだくれに逆戻りすることはあるだろう。たとえば昔私は賭け事が好きだったが、周囲の環境が変わったので、やりたいとも思わなくなった。だが条件が整えば、また手を出すかもしれない。

 情念には執拗さが潜んでいるうえ、私たちは情念から逃れられないという誤った思い込みに囚われている。チーズはどうしても好きになれないと思い込んでいる人は、味わってみようともしない。また独身者は往々にして、結婚は耐え難いものだと思い込む。一度でも絶望を味わうと、思い込みが確信に変わり、強固な主張となって、もはや和らげることができない。

 この幻想としか言えない信念が生まれるのも当然かもしれない。なぜなら人間は、そのとき存在しないものについてはうまく判断できないからである。たとえば飲んだくれているときは禁酒など考えもしない。飲むという行為が禁酒を妨げる。だがいったん禁酒をしたら、もうそれだけで飲酒は妨げられる。悲しみでも賭け事でも、すべて同じである。

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