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列車が速くなって手に入れた15分を無駄にする乗客

【39】速力

  • アラン

  • 村井 章子

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2012年6月19日(火)

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【38】倦怠から読む)

今日の一言

長年にわたる設計、試験、職工たちの苦労を投じて最新鋭の機関車を完成させ、高価な代償を払って手に入れた15分を、幸運な乗客は結局は無駄にしてしまう。

 私はパリから西方面へ行く新型機関車を見たことがある。従来の機関車より長くて背も高く、見るからにスマートだ。部品は時計のように精密で、ほとんど音も立てずに回転していた。それぞれの機械が生み出す力は、ただの一つの無駄もなく、走るという目的にあますところなく有効に使われているらしい。蒸気一つとっても、火から受け取ったエネルギーをピストンに使い果たしてからでなければ、外には吐き出されない。機関車がすべるように動きだし、巡航速度に達し、揺れもなく圧力がかかり、長く連結された車両が時速120キロで走る光景が思い浮かぶ。そうそう、炭水車のことも忘れてはいけない。炭水車を見れば、どれほど大量の石炭が炊かれるかが一目でわかる。

 機関車は科学の粋を集めた作品であり、長年にわたる設計、試験、そして職工たちの苦労の成果である。これらすべては、パリとル・アーブルの間をおそらく15分ほど短縮するためなのだ。これほど高価な代償を払って手に入れた15分を、幸運な乗客は何に使うのだろうか。プラットフォームでの待ち時間に使ってしまう人も多いだろう。15分ほどよけいにカフェに居座って、新聞を広告欄まで読む人もいるかもしれない。これではいったいどこに、誰にとってメリットがあるのか、さっぱりわからない。

 奇妙なことに、列車がもっと遅く走ったら退屈するにちがいない旅行者が、この列車は他の列車より15分速いのだと出発前か到着後に自慢するために、せっかくの15分を使ってしまう。どんな人も、この列車のことを話題にしたり、でなければトランプ遊びや、あるいはただぼおっとしているだけで、一日に15分ぐらいは使うものである。それならば、なぜ列車の中でその時間を使わないのだろう。

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