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自分の不満を仔細に吟味するのはまったくまちがっている

【56】雄弁な情念

  • アラン

  • 村井 章子

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2012年7月12日(木)

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今日の一言

情念にとらわれたら、「こんなに興奮していては正しい見方はできないし、正しい判断もできない」と考えることだ。

【55】泣き言から読む)

 情念はひどく雄弁なものだから、私たちは必ずと言っていいほどだまされてしまう。身体が休まっているとき、疲れているとき、興奮しているとき、弱っているときに応じて、想像力が演出するまやかしの悲しみや陰気や陽気や歓喜、これが情念の雄弁である。私たちはやすやすとこれに翻弄され、悲しみにも失望にもとるにたらない些細な原因があるのに、原因を見つけて正そうとはせず、物や友人に当たり散らしたりする。

 このごろのように試験が間近に迫って来ると、大勢の受験生が夜遅くまで勉強し、目は疲れ、頭はぼんやりしていることだろう。こんなときは一眠りすれば、たちどころに元気になるものである。だがうぶな受験生は、そんなことを考えもしない。彼らはまず、自分は呑み込みが悪い、霧の中にいるようでうまく理解できない、著者の思想は本の中にとどまっていて自分には伝わらない、と考える。そして、試験のむずかしさや自分の能力の乏しさを思って悲しくなる。

 次には過去を振り返り、いま浸っている悲しい霧を通して思い出を噛みしめる。自分のやってきたことなんて、たいして役に立たない、全部やり直しだ、知識は一つも身に付いていないし整理もされていない、と気づく。あるいは気づいたと思い込む。そして今度は将来に目を向け、時間はないのに勉強ははかどらない、と焦る。

 こうして再び本に戻って頭を抱えるのだが、ほんとうは横になって眠るべきなのである。苦悩のせいで治療法に思いいたらず、疲れているがために勉強に突進する。

 こんなときに必要なのは、デカルトやスピノザによって解き明かされたストア派の叡智であろう。この知恵は、想像力が示すものをつねに用心深く疑い、情念の雄弁を見抜き、信じないようにすることを教えている。こうすれば、深刻な苦悩からもすぐに解放されるだろう。ちょっとした頭痛や目の疲れなら、我慢できるし、そもそも長続きもしない。だが絶望は、それ自体が原因を増幅するので恐ろしい。

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