「いい文章」に文才は不要
ビジネス書や教養書の執筆を専門とするライターの単著デビュー作。現場で蓄積してきた書く技術と哲学を、余すところなく開陳したという。
著者は、「いい文章を書くのに、文才などまったく必要ない」と断言している。「いい文章」とは、読者の心、行動までも動かすような文章のことである。随分ハードルが高い設定のような気もするが、そのいい文章を書くためのメソッドはとても具体的で明快だ。
文章の苦手な人は、頭の中をぐるぐると駆け巡っている感じや思いを書こうとするから、書けない。そのまま書くのではなく、ぐるぐるを“翻訳”すればい い。翻訳するには、例えば聞いた話を自分の言葉で誰かに話してみる。そうすれば、頭の中でバラバラに散らばった内容を再構築でき、新たな発見をし、話のピ ントも合ってくるという。
また、「文体はリズムである」と指摘する。リズムは文章の「論理展開」で決まるから、論理破綻しないためには接続詞の整合性に気をつけよ、と。さらに、文章には視覚的リズムもある。句読点、改行、漢字とひらがなのバランスに気を配ろう、と助言する。
ほかにも、「文章は“面倒くさい細部”を描いてこそ、リアリティを獲得する」「自分の理解が80までしか及ばなかったとすれば、正々堂々と80の範囲で 書く」「たったひとりの“あの人”を(読者として)思い浮かべて書く」。実践的な文章術の数々が、読者のやる気を刺激する。
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