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「これを世間に披露したら、首が胴から離れよう」

【1】第一章 張角1

2012年8月20日(月)

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この「サテライト『三国志』群像」の連載について、著者の塚本さんが下記のリンクで解説しています。こんな人物を取り上げてほしいなど、ご要望やご意見もお待ちしております。コメント欄にお寄せください。
ヒーローの引き立て役たちが活躍するもう一つの『三国志』~庶民感覚の歴史である「稗史」を描く」

 その日も、張角(ちょうかく)は弟の張宝(ちょうほう)や張梁(ちょうりょう)を連れて薬草を採りにきていた。

「実葛(さねかずら)の実は胃にも効くし強壮剤にもなるんだが、秋まで待たなきゃな」

 張角が、この季節使い物にならぬと、せっかく見付けた蔓植物を呪うと、張宝が言う。

 「兄貴。こっちにゃ、山査子(さんざし)の実がありますぜ。これで、胃薬に代用ができましょう。おっ、こんな所に油桐(あぶらぎり)もあらァ。だが、まだ種が採れねえ。もう二カ月も経ってから、来ますかねェ?」

 「引っこ抜いて、俺たちの住処まで持って帰るんじゃ、いけませんかね?」

 末っ子の張梁は鷹揚で、熱心に薬草を探す兄たち二人とは対照的だ。そんな末っ子に二人が文句を言わないのは、彼の腕っ節が強いからだ。だが、喧嘩を怖れているのではなく、周囲の見張りをさせるのに重宝だからだ。

 張角と張宝の籠は、薬草で一杯になってきた。そろそろ山を降りようとしていたとき、急に雲行きが怪しくなる。ときおり稲妻が周囲を青白く染めて薄気味悪い。

 「山はこれだからな」

 張宝が空を見あげていると、大粒の物が降ってきた。それは、地面で跳ね返る。

 「雹(ひょう)ですぜ。それに、雷の尾根走りは危ないから、洞窟へでも入りましょう」

 彼らが慣れぬ山道を急ぐと、祠のような小屋が見える。朽ちた木で壁面が覆われているが、屋根はしっかりしているようで、とにかく氷の塊(かたまり)は凌(しの)げそうだ。

 「お邪魔いたします」

 張角は声をかけて扉を開けたが、中に誰かがいると思ったからではない。天帝でも祀られていては礼を失すると思ったのだ。だが、意外にも返事があった。

 「どおれ、お入りなされ」

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「「これを世間に披露したら、首が胴から離れよう」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師