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「これで確かに授かりましょうか?」

【3】第一章 張角3

2012年8月22日(水)

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【2】第一章 張角2から読む)

 符水(ふすい)の効果は思った以上で、考案した張角がかえって怖ろしくなるほどだった。

 「黄帝の御利益(ごりやく)の水を呑めば、病なんぞたちどころに退散するんだとよォ」

 このような評判から、鉅鹿(きょろく)にある張三兄弟の診療所と広場には、連日黒山の人集りができた。いや、もうその程度の形容では追いつかぬ程の群衆で埋もれたのだ。

 ならば、普通の診療では押し寄せる人は捌(さば)ききれない。そこで廃墟の砦を修復し、使われなくなった操練場を買い取った。黄帝を祀る場所も、大木を組み立てて荘厳な演出を行い、張角が祈トウ(示/壽)すると、涙を流す年寄りまで現れだした。

 いや、その程度ではすまなくなっていた。

 「ちぇっ、どうせ喰わせ者だろうぜ!」

 游侠(ゆうきょう)風の男が三人、因縁を付けにやってきた。彼らの目的は、恫喝して金銭をせしめることだ。腕に覚えのある張梁が、彼らと対峙(たいじ)するため診療所から出てきた。だが、游侠が張角の悪口を言った途端、周囲の患者たちの目がすわって、この三人を無言で取り囲んだ。

 「なっ、なんだ、てめえら。痛い目…」

 脅(おど)かす間もあらばこそ。黙って見すえる者たちの輪が狭(せば)まって、無数の手が彼らに掴(つか)みかかっていった。身体中をの肉に爪を立てられ、彼らは悲鳴とともに血塗(ちまみ)れで退散した。

 「ここまで来ると、笑いが止まりませぬ」

 診療所の最上階で、三兄弟が水入らずの酒盛りをしていると、張梁が愉快そうに言う。

 「我も兄者も、おまえと同じ思いよ。ひょんなことから、あの『太平清領書』を手に入れたが、ここまで運が向くとは思わなんだぞ」

 張宝の言葉に、張角も本音を言う。

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「「これで確かに授かりましょうか?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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