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「王美人が、御懐妊です」

【7】第二章 何進2

2012年8月28日(火)

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【6】第二章 何進1から読む)

 皇子の劉弁は、確かにのびのび育った。

 道家思想の館で、あまりにも自由な暮らし方をしたため、世間的な礼儀や作法が全く身に付いていないのである。

 伯父の何進が訪ねてきたところで、ろくに挨拶もできない。道家の館では、それで特段問題にはならなかったようだが、道場には道場の仕来りがあり、それを外せば叱られる。

 「こらっ、弁。今日は寒食節(かんじきせつ)だから禁煙(きんえん)だぞ」

 史子眇が怒鳴ったのは、劉弁が煙草を吸おうとしたからではない。囲炉裏に火を入れようとしたからだ。寒食節は、出世欲がなく親孝行な介子推(かいしすい)が、山で焼け死んだのを追悼する日である。だから、火を熾(おこ)さない。それが禁煙だ。

 「そうか。冬至から百五日目だった」

 このようすから、道士の史子眇が言うことには素直に反応するらしい。それなら、彼を師傅(しふ・皇太子の養育係)に抜擢すれば、それなりの礼儀作法は教えられよう。何進は、そこに期待した。だが、その前に、劉弁を皇太子にするのが先決問題だ。

 皇帝宏のただ一人の皇子であるから、それは大丈夫そうだ。だが、異母妹は貴人の位である。後宮には他の姫妾(きしょう)もいる。彼女たちが寵愛を受けて皇子を産めば、何貴人や何進の立場は微妙に揺れ動くのである。

 そういえば最近、王美人なる姫妾が寵を受けているらしい。うかうかしていると、その女にお株を奪われぬとも限らない。

 何進は、いろいろと気を揉んだ。

 ところが光和元年(一七八年)、とんでもない事件が発覚した。皇帝宏の正妻たる宋皇后が、実際に烈(はげ)しく巫蠱(ふこ)を行っていたということである。

 彼女が呪っていたのは、愛情の欠片(かけら)もない皇帝宏だとされた。だが、以前皇子や公主(こうしゅ・皇帝の娘)を出産したものの、病で喪(うしな)っていた姫妾が騒ぎ出した。

 「皇后の呪いは、きっとわたしたちの子に向けられていたに違いございませぬ」

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「「王美人が、御懐妊です」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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