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「どなたか、早く来てくだされ!」

【8】第二章 何進3

2012年8月29日(水)

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【7】第二章 何進2から読む)

 「ここがどこだか、判っておるのか!」

 「だからこそ、来たのだ」

 「なんだと?」

 宮殿の門前で、輦台(れんだい)に乗った少年を先導してきた男が、門衛と問答する。

 「通してよし」

 突然、門衛の背後から声がかかった。振り返った門衛は、慌てて敬礼する。何進だったからだ。最近彼は、河南尹(かなんいん・河南道の長官)に昇進していた。

 「何皇后に、おめもじいたしたく、罷(まか)り越しました。どうぞ、よしなに」

 呼ばわっているのは、史子眇である。彼は劉弁を輦台に乗せ、宮殿へやって来たのだ。

 光和三年(一八〇年)、ようやく何進の異母妹が皇后に昇格できた。それゆえ彼も、河南尹に収まることができたのである。

 これと併行して王美人は王貴人と呼ばれ、お腹もどんどん迫り出してきた。何進が史子眇に劉弁を連れてこさせたのも、これと大いに関連がある。もっと差をつけるためだ。

 異母妹の皇后昇格は、何進が皇帝宏に強く迫ったのと、宦官どもより熱烈な推薦があったからだ。侍女たちには大柄で押しが強いと怖持(こわも)ての彼女だったが、郭勝(かくしょう)ら宦官評は、面倒見が良いと好評らしい。

 宮廷の権力を牛耳る二大勢力から推されると、皇帝宏は非常に弱い。だが、彼らの薦(すす)めで何貴人を皇后に昇格させると、何進と宦官の存在は更に重くなっていく。

 それは、皇帝宏が自らの首を絞めるようなものだ。だが、それに気づかぬほど、彼は暗愚なのだ。しかも、今、皇帝宏の心を占めているのは、臨月になった王美人の容態への思いやりではない。また、生まれてくる子の名をいかに付けるかでもなかった。

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「「どなたか、早く来てくだされ!」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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