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「黄巾族のやつ、どこからか指南車を持ち出しましてな」

【9】第二章 何進4

2012年8月30日(木)

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【8】第二章 何進3から読む)

 「太平道の賊など、怖るに足らん!」

 何進は、儀礼用だが、慣れぬ鎧兜(よろいかぶと)に身を固めて叫んでいた。光和七年(一八四年)に起こった黄巾の乱に際して、彼は大将軍に任じられたのである。

 実戦経験どころか兵役経験もない大将軍など、無論飾り物である。実際には皇甫嵩(こうほ/すう)や朱雋(しゅしゅん)、盧植(ろしょく)、董卓(とうたく)らの武将が戦うのである。

 このときの何進は、ある意味ほっとしていた。皇帝宏の模擬店で、王美人が毒殺されたとき、彼女に粽(ちまき)を渡した宦官がすぐに処刑された。無論、口封じである。

 皇帝宏は、すぐに何皇后を疑った。だが、宦官たちの取り成しで、それ以上は有耶無耶(うやむや)になった。それでも、皇帝宏からの不信感が残った。それを取り消すため、何進は寄ると触ると、太平道の暗躍を言い立てた。

 彼らが桐の人形や『太平清領書』を、城内にばらまき、宮中の宦官を抱きこんでいるのが判ると、大枚の賄賂を贈って裏切らせた。何進は武将の器ではない。だが、裏町事情を知り尽くしていて、情報収集は巧(うま)かった。

 「何大将軍。戦いの状況はどうじゃ?」

 小規模な反乱や異民族の攻撃は、国内でときおりある。その度に皇甫嵩や朱雋といった武将が鎮圧したのである。

 これまで、皇帝宏は遠方での血腥い事件を、ただ報告として聞いていた。だが、後宮という膝元にまで初めて触手を伸ばした黄巾賊に、戦慄(せんりつ)を覚えていた。

 「御心配なく。洛陽で謀反を企てた馬元義は捕らえて処刑いたしましたし、長社の戦いで本隊を壊滅させました。張角、張宝、張梁らも、ほどなく降服すると存じます」

 何進の応えは嘘ではない。潘隠からの報告では、大勝しているとのことである。

 「黄巾族のやつ、どこからか指南車を持ち出しましてな。それを皇甫将軍が、火矢で焼き払ったものですから、一気に瓦解したとか」

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「「黄巾族のやつ、どこからか指南車を持ち出しましてな」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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安形 哲夫 ジェイテクト社長