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「宦官が賄賂を貰って庇いよるのだ」

【11】第三章 孫堅1

2012年9月3日(月)

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【10】第二章 何5から読む)

 母親呉娃(ごあい)の容貌は、兄の孫策(そんさく)よりも弟孫権(そんけん)に、色濃く出た感が否めない。父親になった孫堅(そんけん)は、最近つくづくそれを思う。

 「権の頭髪も、亜麻色がかっているぞ」

 確かに、呉娃の髪も漆黒ではない。いや、それだけではなく、容貌も漢民族のものではなかった。恐らくは海岸沿いに身毒(インド)より西側から渡ってきた末裔のようだ。

 孫堅が嬉しそうに言うと、妻も返す。

 「殿が被られる赤い縮絨(フェルト)のサク(巾/責・頭巾の一種)が移ったのですわ」

 それは、彼女の里から贈られた物だ。武将が、それを着けて兵を率いると目立つ。そうすると、部下たちの士気が上がるのだ。

 また、彼はこれまで浙江(銭塘江)河口一帯の海賊や妖族(カルト教団)の乱を何度か鎮圧していた。その実力を買われ、塩涜(えんとく)やク(目/于)イ(目/台)、下ヒ(不に一を敷いて/邑・かひ・三つとも江蘇省)の県令の丞(補佐役)を歴任していた。

 孫堅は当時、まだ弱冠(じゃっかん)を幾つも出ない青年だった。弱とは周の時代に二十歳を言い、冠を被って大人の仲間入りをする意だった。現在日本の、二十歳をもって成人とする根拠も、このあたりだろう。

 さて、若くても実力派の孫堅は、無論中央政府からも注目される存在になっていった。特に目を懸けてくれたのは、中郎将(ちゅうろうしょう・宮殿に勤務し皇帝の警護役。有事には出撃する)の朱儁(しゅしゅん)であった。彼は会稽郡(かいけいぐん)上虞(じょうぐ・浙江省紹興の東)の出身で孫堅とほぼ同郷だ。

 それゆえ、才能溢れる若者に興味を持ったらしい。彼は帰郷する度に孫堅を訪ね、酒を酌み交わしながら長安周辺の事情を語ってくれた。

 「最近、太平道なる邪教が横行し、都に巫蠱(ふこ)を持ち込みよる」

 それは太平道が、長安にまで触手を伸ばしてきたということだ。

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「「宦官が賄賂を貰って庇いよるのだ」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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