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人ごみで押されたぐらい、笑って済ませよう

【84】喜ばせる

  • アラン

  • 村井 章子

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2012年8月27日(月)

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【83】処世術から読む)

今日の一言

礼儀正しくふるまうとは、あらゆる身ぶりと言葉遣いでもって、「いらいらするのはやめましょう。人生のこの大切なひとときを台無しにしないようにしましょう」と示すことである。

 私は身につけるべき「処世術」についてお話をしたが、そこに「喜ばせる」という決まりを付け加えたい。この決まりを提案したのは、私の知る限りではひどく怒りっぽい男だが、どうやら性格を改造したようである。

 さて、こんな決まりを持ち出すと、最初は変に思われるかもしれない。人を喜ばせるとは、つまり、嘘をついたり、おべんちゃらを言ったり、慇懃無礼にしたりすることではないのか、と疑うからである。そこで、この決まりの意味をよく理解してほしい。ここで言いたいのは、嘘を言ったり卑屈になったりせずに相手を喜ばせられるときにだけ、そうするということである。これは、たいていの場合に十分に可能である。

 声を張り上げ顔を真っ赤にして不快な真実を言うのは、単に機嫌が悪いからだ。言ってみれば、自分では止められない発作のようなものである。そして、真実を口にするときは勇気を持ってすべきだった、とのちのち後悔する羽目になる。だが熟慮のうえで危険を冒す覚悟を決めない限り、そんな勇気を奮えるものか、疑わしい。ここから、次の教訓を引き出すことができる。

 「高飛車に構えていいのは、熟慮のうえでそうすると決めたときだけである。その場合でも、自分より地位が上の人に対してしか、高姿勢に出てはいけない」

 だが、おそらくこれよりももっといいのは、声を張り上げずに真実を言うことであり、真実を言うときでも、称賛に値するものを選んで言うことである。

「「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」毎日読むアラン『幸福論』」のバックナンバー

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