• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「我を慕う郎党どもが、車の前に寝転がって進めませぬ」

【17】第四章 董卓2

2012年9月11日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

【16】第四章 董卓1から読む)

 胡座(あぐら)とは座り方であるが、「胡」の文字を使うからには西方異民族の作法だ。また、胡床も同じ読みをするが、こちらは折り畳み式の簡易椅子を言う。中国では、最初に涼州へ持ち込まれたと思(おぼ)しい。

 董卓も、その胡床に懸けて地平線を睨(にら)んでいた。黄巾の乱の後、彼は朱儁(しゅしゅん)という武将と杯を交わすことが何度かあり、その際に長安遷都説を言い募った。大きな乱が洛陽近郊で発生したからである。

 しかし、朱儁は首を縦に振らない。洛陽を神聖視する反発ではなく、長安の都としてのインフラが調っていないとの理由だ。だが、西の長安へ皇帝を据えれば、涼州を根城にする董卓には、至極都合がいいのである。

 彼は不惑過ぎから下腹の肉が一段と付き、良く言えば貫禄充分だったが、肥満が過ぎて馬にも乗りにくい。だが、愛馬はよく彼を支えた。そんなおり、再び反乱鎮圧の命が届く。

 黄巾の乱が収まると、涼州で辺章(へんしょう)と韓遂(かんすい)が乱を起こした。すると、また皇甫嵩(こうほ・すう)が副車騎将軍の肩書きで駆り出された。董卓には中郎将として、彼に合流せよとの命令がくる。

 ところが、黄巾の乱鎮圧の疲れが残っていると判断されたのか、皇甫嵩はすぐに更迭された。つづいて、車騎将軍の張温(ちょうおん)に付くために、長安へ来いとの命令に変更された。このときの肩書きは破虜(はりょ)将軍だ。ここで彼に出撃命令が出るのは、涼州に土地勘があるのと、辺章や韓遂へ羌族が加勢しているからである。

 「本気で戦うことはない。適当にしておかないと、清流派の将軍らのように、真面目に戦って左遷されてては、割に合わぬわァ」

 かつて、戦いには決して手を抜かなかった彼だったが、一度謂(い)われのない免職を受けて、考え方は大いに捻(ひね)くれた。仕事は要領よく適当にであった。

 長安へは、命じられた期日より5日ばかり遅れて到着した。風がきつくて、思うように進めなかったと言い訳して張温を納得させた。だが、傍の別部司馬の孫堅(そんけん)なる若い武将が、にこりともせず彼を横目で睨んでいた。

 「若いの、しっかり働くのだぞ」

コメント0

「サテライト「三国志」群像」のバックナンバー

一覧

「「我を慕う郎党どもが、車の前に寝転がって進めませぬ」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「絶対これしかありません」というプランが出てきたら、通しません。

鈴木 純 帝人社長