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「宮刑に換えてでも、漢史の編纂をつづけさせてくれ!」

【29】第六章 蔡ヨウ(巛-邑)5

2012年9月28日(金)

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【28】第六章 蔡ヨウ(巛-邑)4から読む)

 董卓が蔡ヨウ(巛-邑)に依頼した重要な仕事は、漢史の編纂(へんさん)であった。前漢の歴史『漢書』は、班彪(はんぴょう)、班固(はんこ)、班昭(はんしょう)の父と兄妹によって著されていた。したがって、蔡ヨウ(巛-邑)の仕事は、前漢史の検証と詳しい後漢の歴史の記述と考えられる。

 だが、仕事の最中にも董卓の素行があまりにも暴虐なので、逃げだそうとしたことすらあった。彼は、それを弟に相談してみた。すると弟は、現実的ではないと批判する。

 「ただ、逃亡するだけなら簡単でしょうが、関中(渭水盆地)におればすぐに捕まりましょう。また、函谷関か武関を運良く通れたとしても、そこは反董卓軍の目が光ります」

 「投降しても、無理かな?」

 「それは、どうでしょう。洛陽を灰燼(はいじん)に帰した董卓の官僚として、打ち首にされる可能性が高うございます」

 こうして蔡ヨウ(巛-邑)は逃亡を諦め、漢史に没頭することにした。娘も15歳になって、仕事の補佐などもできるようになった。つまり、資料集めや要点のまとめである。そんな甲斐甲斐しく聡明な彼女を見て、嫁に欲しいと言ってくる者もあり、蔡ヨウ(巛-邑)も逃げなくてよかったと思うことにした。

 河東郡の衛仲道なる婿は、彼女が父の蔵書の一部を暗誦していることを、特に褒(ほ)めてくれた。彼は、きっと聡明な子ができると、期待をもって娶(めと)ったのであった。

 娘の手助けはなくなったが、そこは若い官僚に手伝わせた。すると、やはり痒い所に手が届くと言うわけにはいかず、仕事の捗(はかど)り方に鈍(にぶ)りが出てきた。

 それでも、蔡ヨウ(巛-邑)は幸福だった。好きな古文の能力を駆使して歴史の検証と、後漢の歴史を記することができるからだ。ところが、正にそのようなときに異変が起きたのである。

 最初は、周囲がざわざわするだけで、何事が起きたのか判らなかった。

 「呂将軍(布)が、董閣下(卓)を暗殺した。宮殿の門を入った所だ」

 そんな声が、宮中の廊下を駆け巡った。

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「「宮刑に換えてでも、漢史の編纂をつづけさせてくれ!」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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