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「李粛が、杜容に惚れていたのか?」

【42】第九章 李カク4

2012年10月18日(木)

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【41】第九章 李カク3から読む)

 「逃げなかったとは、感心な」

 李カク(確の石が人偏)が言うのは、行き場を喪って宣平門(せんぺいもん)へ登った皇帝協の脇で、王允が控えていたからだ。呂布や張遼、高順らはもう疾くに、裏門から脱出していたのである。

 「おまえたちには……」

 城門の欄干(らんかん)から声をかけてのは、皇帝協であった。ようやく12歳になったばかりの彼は、まだ声変わりもしていない。

 「……刑罰や恩賞を与える権限はない。それを、勝手に兵を放って恣(ほしいまま)にさせているとは、なにごとだ?」

 どうやら、王允が少年皇帝を傀儡(かいらい)にして、最後の抵抗を試みているらしい。

 「董大師は、心から主上に忠誠を尽くしておられましたのに、理由もなく呂布に暗殺されました。我らはその復讐に参ったまでで、事が終われば廷尉府へ出頭して処分を受ける所存でございます」

 李カクはそう言うと、梯子段を登って王允を引き摺り降ろした。肉体的に非力な文官は、抵抗をせず促されるまま、武官の詰所へ連行された。そこで、訊問を受ける。

 「なぜ残っていた? 誰も、逃げようと誘いに来なんだのか?」

 「誰だったかは忘れたが、心からみどもに逃げるよう勧めてくれた者もいた」

 それでも王允は、家臣が皇帝協を置いて、逃げるわけには行かぬと断ったらしい。そういえば、宮廷の文官たちで残っている者も多い。それが、彼らの文官としての矜持(きょうじ)といえる。いや、単に逃げる宛がないのかもしれない。

 「呂布の家臣で親切なのは、李粛だろう?」

 「あやつは、呂布に斬られたはずだ」

 この王允の応えから、李カクに疑問が湧く。

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「「李粛が、杜容に惚れていたのか?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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