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「明日の日の出前に、城門を開けるのだな」

【43】第九章 李カク5

2012年10月19日(金)

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【42】第九章 李カク4から読む)

 長安の城内は、涼州組が牛耳るようになった。董卓が暗殺された当時は、董卓に可愛がられていた庶民が、他の者から打ち据えられて多くが殺された。だが、涼州組が城内へ雪崩れ込むと形勢が変わって、逆襲が始まった。

 しかし、涼州組に加担した兵どもは、庶民の対立とは関係なく、家屋に立ち入って略奪を始めていたのだ。

 それらが落ち着いた頃、庶民は随分疲弊していて、平生の仕事ができる者は半分以下になっていた。つまり農業も工業も、かなり生産性が落ちていたのである。

 そのような状態の長安へ、反董卓軍が押し寄せれば、皇帝協を守り通すのは不可能だったかもしれない。だが、洛陽以東の軍閥たちは互いに牽制しあって、長安へ攻め入ってくる軍事力も精神力もなかったようだ。

 それは、李カク(確の石が人偏)らにとって幸いだったが、もう一つの吉報が舞い込んだ。それは、かつてこの地で反乱を起こした韓遂(かんすい)が、軍閥の馬騰(ばとう)と一緒に、皇帝協に降服すると言ってきたことだ。

 かつては李カクも董卓と、辺章や韓遂の涼州での反乱を、鎮圧しに来たものだ。辺章が死んで、馬騰が後釜に座ったらしいが、隔世の感がある。

 もっとも降服の話は、董卓が長安遷都を行った直後に持ちあがっていて、今年になってから鎮西将軍の称号を韓遂に与えた経緯があった。だが、董卓が亡くなったため、馬騰にも肩書きが欲しいと言ってきたのだ。

 李カク、宮廷の董承(とうしょう)や士孫瑞(しそんずい)、韓融(かんゆう)、陽彪(ようひょう)といった官僚たちに諮(はか)って、適当な肩書きを考えさせた。

 「あのものたちは、涼州の軍閥の中では大物ですからな」

 「ああ、それが、みどもらの正規軍に編入されれば、中原から東の軍閥(反董卓軍)が函谷関に迫っても、長安を守りながら半分の兵力を割(さ)けます」

 「ならば、そこそこの肩書きを付けねばなりませぬな」

 官僚たちが頭を捻っていると、率爾ながらと提案をする者がいた。

 「征西将軍というのは、いかがでしょう?」

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「「明日の日の出前に、城門を開けるのだな」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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