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「だが李カクは、陰謀と疑っているらしい」

【45】第十章 張済2

2012年10月23日(火)

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【44】第十章 張済1から読む)

 鎮東(ちんとう)将軍というのが、張済の、皇帝協から戴いた肩書きだった。長安から東方の陜で、いわゆる反董卓軍を睨むのであるから、名称どおりの武官となる。

 彼がここでの駐屯を希望したのは、皇帝の側(そば)にいるのが、何となく面映ゆいと表向きの理由にした。だが、本音は、李カク(確の石が人偏)や樊チュウ(禾/周)、郭シ(三水/巳)らの揉め事に巻き込まれたくないからだ。

 その予想が少し遅れたのは、侍中職にあった馬宇(ばう)の、裏切り事件が発覚したお蔭だった。彼は李カクの権力を奪おうと、涼州軍閥の韓遂(かんすい)、馬騰(ばとう)へ内応し、彼らに長安を襲わせるつもりだった。

 だが、仲間に引きこんだチュウ(禾/中)ショウ(召/邑)と劉範(りゅうはん)が陰謀を悟られて、逆に追われる羽目になってしまった。執拗に追ったのは樊チュウで、馬宇は彼に射殺された。

 ところが、ここで奇妙な目撃談が出る。それは追っ手に加わっていた李利(りり・李カクの甥)が目にしたものだ。軍兵を脇へ置いた樊チュウと韓遂が、轡(くつわ)を並べて互いの腕を掴み合って談笑していたというのだ。

 「追っ手が、追われている者と、親愛の情を示すのは妙だな」

 「そういえば、あいつらは同郷ではなかったでしょうか?」

 「はっきり訊いたことはないが、そうかもしれん。だから手を組んで、俺を……」

 「ありえますぞ。叔父貴」

 李カクは屋敷へ戻り、特別に設えた蚩尤(しゆう)を祀(まつ)る倉へ入った。供えた羊の肉が腐りかけていて、家の者は誰も寄りつきたがらない。

 「旦那様。お供え物を、取り替えては?」

 妻が言うのを、李カクは笑って応える。

 「肉も女も、腐る前が一番旨いんだ。このままでも、蚩尤は喜んでいるだろう」

 彼は、早速そこへ巫女(みこ)を呼んで、色々占わせ、最後に樊チュウの心を見させる。

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「「だが李カクは、陰謀と疑っているらしい」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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