• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「だって、郭将軍の奥方は、とても」

【46】第十章 張済3

2012年10月24日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

【45】第十章 張済2から読む)

 張済は、李カク(確の石が人偏)と郭シ(三水/巳)の対立を、高みの見物と洒落込むことにした。樊チュウ(禾/周)が消えれば、やがてこの二人が対立するのは、読めていた。

 だが最初、この二人は案外仲良く長安で棲み分けており、互いに皇帝協を支え合っていたのである。だが、彼らの仲違いを助長したのは、それぞれの妻たちであった。

 その日は、張済の使いで甥の張繍(ちょうしゅう)と部下の胡車児(こしゃじ)が、陜(せん)の守備隊報告書を李カク宅へ持参していた。着いたのが夕刻で、庁舎には彼がいなかった。

 そこで屋敷へ赴いたが、李カクは厭な顔もせず会ってくれた。

 「袁紹から皇帝に推された劉虞が、公孫サン(王/贊)に討たれ、袁紹と連合した曹操は、父親を陶謙に殺されたと徐州攻撃に力を注いでいます。また、呂布は袁術を頼りましたが、そこも出て、袁紹の陣へ行った模様です」

 李カクは、説明を聞きながら竹簡を眺めていた。だが、あまり文字を知らないのか、印を捺(お)してあっさり返してくれた。

 だが、それだけで終わろうとするので、肝腎の用件を切り出す。

 「ついては、武器の購入金をいただきたく」

 張繍が言うと、李カクはにっと笑って付いてこいと顎(あご)をしゃくる。そして、倉の方へ行こうとする。公金を、自宅にも置いているらしい。そのとき、彼の妻が声を掛ける。

 「そろそろ、お供えの羊の肉を捨てて、新しいのにお取り替えくださいまし」

 長安に来てからも、李カクの妻は、旬日に一度は同じ台詞を吐いていた。すると、李カクも常套句(じょうとうく)で応えるのだが、その日は少し違った。

 「肉も女も、腐る前が……」

 「あら、お生憎さま。わたしは疾くに」

 彼女が言おうとする前、突然声がかかる。

「サテライト「三国志」群像」のバックナンバー

一覧

「「だって、郭将軍の奥方は、とても」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長