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「主上の一行が、李カク様と郭シ様の軍に攻撃をかけているようです」

【49】第十一章 鄒娜1

2012年10月29日(月)

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【48】第十章 張済5から読む)

 初平元年(193年)は、遠く離れたローマ帝国に、始めてアフリカ出身の皇帝セウェルスが出現した年だ。それは曹操が父の仇とて、徐州牧の陶謙を探して、大いに暴れていた時期である。

 「なんという人でしょうね」

 張済の妻鄒娜(すうだ)は、曹操の話を聞いて悍(おぞ)ましかった。確かに、戦いに殺戮(さつりく)は付き物である。だが、仇一人を捜すため、村を幾つも焼き尽くして草の根を分けるような執拗さを呪ったのだ。

 董卓の残虐さも、無論好きにはなれなかった。だが、曹操の非道さも相当なものだと、彼女は身震いしていた。

 長安と洛陽の中間地帯の陜(せん)にいると、中原とそこから東のようすがよく伝わってくる。その曹操が、青州黄巾賊と言われる30万人もの軍勢を手に入れている。このまま勢力を増大していけば、そう考えるとまた悪寒が走った。

 「30万と言っても、家族を入れての話だ。兵力は精々10万がいいところだ」

 それでも、もとからの勢力と一緒にすれば、袁紹と匹敵する程の力になる。長安の三人(李カク=確の石が人偏=、樊チュウ=禾/周=、郭シ=三水/巳=)を合わせたより多い。にもかかわらず、彼らは仲間割れで樊チュウが暗殺され、李カクと郭シは啀(いが)みあっている。

 「呂布が、曹操に身柄を委ねて世話になっておきながら、今度は反乱を起こしたぞ」

 夫の張済は驚いているが、養父を二人も抹殺した男なら、今更なにをか言わんやである。

 鄒娜は、呂布を間近で見たことがある。筋骨逞(たくま)しい、いかにも膂力(りょりょく)の塊(かたまり)といった心象があった。だが、それだけだった。

 後で知ったことだが、彼が董卓の姫妾だった杜容(とよう)に恋心を抱いていたと聞いて、思わず噴き出したものだった。あんな大雑把な感情しか持てない者が、繊細な彼女の心など掴(つか)めるものかと思ったのだ。

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「「主上の一行が、李カク様と郭シ様の軍に攻撃をかけているようです」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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