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「曹操の世話になるか、袁紹か、袁術か、それとも他に誰かいるかな?」

【50】第十一章 鄒娜2

2012年10月30日(火)

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【49】第十章 鄒娜1から読む)

 「今度は、李カク(確の石が人偏)と郭シ(三水/巳)の軍が、楊奉軍をやっつけて、主上に付き従っていた官僚や宮女を大勢殺したと言いますぜ」

 知らせてくれたのは、胡車児(しゃこじ)であった。この胡人の血が混じった下士官は、身が軽くて抜け目がなく、どこからかさまざまな話を持ってきてくれる。

 「殿は、どうしておられます?」

 「李カク殿と郭シ殿が官僚を虐殺されるので、止めておられます」

 彼らが、官僚を逆恨みしているのは判る。

 もともと李カクが、皇帝協を無理やり屋敷内に軟禁状態にし、宮廷人や官僚たちを束縛したのだから、当然嫌われる。それに、屋敷内に漂う蚩尤(しゆう)を祀る祭壇からの臭いがあった。

 だが、彼はそのようなことを棚に上げ、自分を嫌う官僚らを憎んでいる。なんとも、理不尽な精神状態を呈していた。

 「そのぐらいにしておけ。楊奉らを痛い目に遭わせたのだから、満足だろう?」

 「しかし、主上が向こうへ……」

 皇帝協さえ手元に置いておけば、たとえ盗賊の真似事(まねごと)をしても、総ては官軍の行為として正当化できる。まるで、打ち出の小槌のような存在だった。

だが、李カクは皇帝協の扱いが、あまりにもぞんざい過ぎた。部下の楊奉らが離反したのは、李カクの態度への反発からだ。ここまで皇帝と宮廷人の気持を蔑(ないがし)ろにしていては、身近にいる意味がない。だから張済は、李カクと郭シに皇帝協を諦めて、長安から出すよう勧めたのである。

 皇帝協が長安を出たとき、当面の安全を図るため、張済は陜(せん)に留まるよう楊奉らに勧めた。だが、彼は頑(かたく)なに拒否した。それは、張済も李カクや郭シと同じ穴の貉(むじな)と思っているからのようだった。

 それならそれで、張済は袂(たもと)を分かつだけだと思った。その楊奉が、郭シに襲われたと聞いたとき「だから、言わんこっちゃない」と思ったものだ。だが、楊奉は郭シを撃退した。「なかなか、やるな」と思ったが、これだけですむはずがなかった。

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「「曹操の世話になるか、袁紹か、袁術か、それとも他に誰かいるかな?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師