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「許都には主上がおわす。万一の事も考えよ!」

【77】第十六章 袁紹5

2012年12月7日(金)

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【76】第十六章 袁紹4から読む)

 退却した袁紹は、顔色がだんだん悪くなってきた。もともと宿痾(しゅくあ)を抱えていたのか、それとも、敗戦の落ちと気怒りが綯い交ぜになって身に毒素を呼び、一挙に表面へ浮き上がってきたのか、どちらかだ。

 とにかく、袁紹は体調不良だった。

 それと相前後して、袁紹の陣営では戦犯捜しが始まった。

 「だから、兵糧攻めに限ると言うたに、足もとも固めぬ短期決戦など、やはり間違いだったのだ」

 持久戦を主張していた田豊は、主君の袁紹を批判したと讒言(ざんげん)されて、処刑された。また、主戦派の審配(しんぱい)にしたところで、法を厳格に運用し過ぎる性格の悪さから、周囲との紛争が絶えなかった。

 内部の混乱が外部に漏れると、それまで追従していた地方の軍閥が反乱を起こし始めるようになった。

 「劉備や関羽に鎮圧させろ!」

 「やつは恩知らずにも甘夫人や関羽を連れ、劉表を頼って荊州へ逃れたもようです」

 部下の応えを聞いて、袁紹は戦(いくさ)に負ける意味が解った。それは、従う振りをしていた人々が、だんだん離れて行くという現象を生むようだ。

 個人レベルで言うと、犯罪や事故を起こした場合、倒産又は解雇の憂き目に遭う状況、大病で寝たきりになるなど、敗戦はそれら総ての不幸を重ねたようなものだ。

 とにかく、それまでのさまざまな人々とのつながりが、ぷつんと切れてしまうのである。

 比較的義理堅いとされる劉備が、あっさり袁紹を見捨てたのも、詰まるところもう使えないとみなしたからだ。乱世を生き延びるには、その程度の乾いた感覚が必要なのだ。

 「喉元過ぎれば何とやら。曹操に追われた辛さを、すっかり忘れおったか」

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「「許都には主上がおわす。万一の事も考えよ!」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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