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「病気が治ると評判らしいが嘘か?」

【78】第十七章 華佗1

2012年12月10日(月)

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【77】第十六章 袁紹5から読む)

 「若い頃は、とかく無茶をするものです。曹家の総領殿は、どのような悪さをしておられたのです?」

 「無茶ではございません。訓練をしておりました」

 曹操は、沛(はい)国のショウ(言/焦)県に鳴り響いた暴れん坊で、近くに住む華佗(かだ)もその名はよく知ったいた。その若者が怪我をして、仲間の夏侯淵(かこう・えん)や夏侯惇(かこう・とん)に担ぎ込まれてきた。落馬での骨折だから、上手くつないで副木を当てれば充分だった。

 医師の軽口にも彼の受け答えは、ならず者のそれではなかった。父や祖父が、宮廷人だった家柄を思わせる態度である。

 この時代の医師の社会的地位は、現在とは違って、決して高くはなかった。それは、患部の膿を自らの口で吸った事などに拠ったのだろう。だから、患者の地位が高いと、医師を小馬鹿にした態度を取る者も多かった。

 だが、曹操はそうではなかった。それは自身の祖父が宦官で、父曹嵩は養子だったからだ。宦官は、社会的地位が高くなっても刑余の者とみなされ、人々は内心軽く見ていた。だから曹操は、陰では「宦官の係累」と陰口を叩かれていて、侮蔑されることの傷みを知っていたようだ。

 「ほう、どのような訓練ですか?」

 「急な坂を、駆け降りました」

 「騎馬のままそれをされるのを、世間では無茶と申します」

 「なれど……」

 華佗に対して口を尖らすのではなく、曹操は真面目な表情で言い募ろうとする。

 「なれど、とは?」

 華佗が問うと、曹操は真剣に応えた。

 「戦いにおいては、無茶が日常です。その訓練は、平時に無茶と言われようと、慣れておらねば、非常時に役立ちませぬ」

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「「病気が治ると評判らしいが嘘か?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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