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「扉を開けたら尖った先端が猛烈に突進する仕掛けが欲しいのだ」

【79】第十七章 華佗2

2012年12月11日(火)

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【78】第十七章 華佗1から読む)

  思ふことみな尽(つ)きねとて麻の葉を切りに切り手も祓(はら)へつるかな

 これは『後拾遺集』にある泉式部の歌である。6月の晦日に行う夏越しの祓いを歌っている。罪深い思いを祓いたいが、麻の葉を切っても切っても、まだ足りませぬという訳だ。

 それが、『三国志』と何の関係があるという向きもあろう。ここで注目すべきは、麻の葉を切るという行為だ。そこには、麻が本来持つ陶酔作用がある。「麻」には、痺(しび)れるの意も含まれる。マヤクを魔薬と誤解する人もいるが、飽くまでも麻酔&鎮痛作用をもたらす薬は「麻薬」である。

 華佗が名医とされる所以は、麻酔剤を開発したところにあった。「麻沸散(まふつさん)」との命名が記録にあり、麻が原料であるらしい。だが、その製造法は伝わっていない。

 当時の病気治療は、太平道の符水に代表されるごとく、呪(まじな)いに頼っていた。無論、薬草の作用に期するところもあったろうが、最も進んだ医療は、鍼灸(しんきゅう)であったはずだ。華佗はこの鍼灸に、現代の外科治療技術を加えていたらしい。

 彼には、呉普(ごしん)と樊阿(はんあ)という弟子が二人おり、甲斐甲斐しくよく働いた。ただ、このとき彼らもまだ麻沸散の製造法は知らなかったようだ。

 「太平道の呪いなど、受けてはなりませぬ」

 そう言いながら、華佗の所へ神経痛の診察を受けに来た素封家がいた。名を呂伯奢(りょはくしゃ)といい、道に迷っていたところ、曹操の従者に場所を教えてもらったと言う。

 彼が華佗を知ったのは、頭痛と熱で倒れた役人二人が同時に診察を受けた話からだ。

 華佗は二人の内一方には下剤をかけ、残る一人は汗を掻かせたという。無論、しばらくして全快した。症状は同様でも個別の処方は、患者をよく観察したからできたのである。

 呂伯奢はそこを信頼して、はるばると成皐(せいこう・シ=三水/巳=水関の近く)からやって来た。華佗は彼を診て、鍼を打って灸をした。それから薬と渡して、処方を説明したという。

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「「扉を開けたら尖った先端が猛烈に突進する仕掛けが欲しいのだ」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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