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「劉表様が呪師から貰う瓶には、子供の生肝が入っている」

【81】第十七章 華佗4

2012年12月13日(木)

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【80】第十七章 華佗3から読む)

 華佗の噂は荊州刺史の劉表にも聞こえ、彼は召されて庁舎へ行くことが多くなった。だが、劉表が強請(ねだ)るのは、麻沸散(まふつさん)だった。

 「身体に痛みが走るのだ。それを嗅ぐと、傷みが収まると言うではないか。是非、一瓶、いやこれから先も考えて、十瓶ばかり譲ってくれぬか」

 権力者に逆らえば襄陽で生きにくくなり、次に行く宛がない。華佗は仕方なく、劉表の要望に応えることにした。

 鄒娜(すうだ)の回復は、その後尚も早くなった。そして半年もすれば、普通の生活ができるはずだった。

 ところが、問題があった。彼女の記憶が総て飛んでいたからだ。穣県から義甥の張繍や娘の張カ(跨を女偏に)らが来たのを見ても、誰だかさっぱり判らない始末だった。

 そんな彼女は治療の礼にと、華佗の助手を買って出た。すると、男の弟子たちでは気づかぬ細かい事にまで、彼女の目は行き届いた。

 記憶を取り戻したいとする彼女は、娘の張カを育てることにし、華佗は積極的に彼女を使いへ出した。

 身体の皮膚の一部が爛(ただ)れているものの、不断は着物で隠せて、世間へ身を晒すのに何ら支障はなかった。

 もともとの美貌はまだまだ健在で、彼女が薬を届けると、特に庁舎で絶大な人気があった。だから、時には応接で茶の接待を受けて世間話を聞いて帰ってくる。

 「適当に切り上げて、帰ればいいのだぞ」

 「でも、皆様のお話をお聞きするのも、心の治療のうちでは?」

 彼女はこのように優しく、営業の素質もあった。また、情報収集能力もあって、世間の事に無関心な華佗に、世情を色々と報告してくれた。

 「穣県が曹操に囲まれて、張繍は和睦したということです」

 つまり、甥が曹操陣営に取り込まれたわけだが、彼女には特別な感慨がないらしい。その辺の記憶は、取り戻さない事の方が、かえって幸せかもしれなかった。

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「「劉表様が呪師から貰う瓶には、子供の生肝が入っている」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官