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「ここを拠点に、儂は蜀へ足を伸ばそうと思うのだ」

【108】第二十三章 黄忠3

2013年1月30日(水)

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【107】第二十三章 黄忠2から読む)

 劉備の攻撃が長沙郡の攸(ゆう)県に及ぶと見て、韓玄は黄忠に出陣を要請した。

 「ここを死に場所と心得、奮戦いたします」

 彼は、手勢5000騎を引き連れて出陣した。そこでぶつかったのは、関羽の討伐軍であった。彼らは横隊で睨みあう。

 「おぬしらも判っているだろうが、曹公は荊州の北の、その半分をようやく護っているだけだ。もう近いうちになど、決して長江を渡って来られぬ。無駄な抵抗をせず、我らに投降せよ」

 関羽の、慈悲深い呼び掛けであった。そこへ、黄忠が大声で応える。

 「心の籠もった呼び掛け、畏れ入る。だが、我らも先の荊州牧(劉表)の恩義に報いねばならぬ。一騎打ちを所望する、勝っても負けても、お言葉に従おう」

 黄忠はそう言うと、騎馬のまま槍を抱えて一歩前に進み出る。

 「お応えしよう」

 関羽も一歩出ると、両陣営は彼らの動きへ釘付けになる。その場を背後から攻めれば、大きな傷手を与えられよう。だが、黄忠も関羽も、そのような小細工を弄(ろう)する策を持ち合わせていない。

 二騎は馬を走らせ、擦れ違いざまに一合打ち合い、手綱を返して槍と大刀(薙刀状の武器)が火花を散らした。還暦の黄忠と、知命を前にした壮年とが、武器を何度も繰り出した。だが、打てば受けられ返せばいなされる。

 両陣営とも、ただ固唾を呑んで見守るだけであった。だが、時間が経つに連れて、黄忠の息が少しずつ上がっているように思えた。

 「おぬしの力は判った。ここは引くので、互角としようではないか」

 言いだしたのは、関羽の方であった。

 「なぜだ。つづければ、そこもとの勝ちだ」

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「「ここを拠点に、儂は蜀へ足を伸ばそうと思うのだ」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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