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「矜持のため、質の悪い小役人を斬殺したか」

【111】第二十四章 呂蒙1

2013年2月4日(月)

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【110】第二十三章 黄忠5から読む)

 「まだ、早いって言われって、汝南(じょなん)から出てきたおらんちは、そうでもして稼がなきゃ、貧乏から抜け出せない。『虎穴に入らずんば、虎児を得ず』だろう?」

 危険を冒さねばいい目は見られない(ハイリスク・ハイリターン)という班超(はんちょう・前漢初期、西域の将軍。『漢書』を著した班彪の息子)の故事を口にする呂蒙は、トウ(登/大里)当の山越討伐軍兵へ勝手に紛れ込んだのだ。山越とは、呉に帰順しない山岳民族で、平地と山岳で住み分けていれば、お互い普段の接触はない。

 それでも、入会(いりあい)権で重なる所や、山岳に食糧が少なくなると、彼らが略奪行為を働くので討伐の対象になる。だから、呂蒙はその軍へ身を投じて、手柄を立てようとしたのであった。

 「気持は判るが、まだ若いし、もう少し武術の訓練を受けてからだな」

 姉婿のトウ当は、聞き分けのない呂蒙を持て余し気味だったが、孫策の武将という立場で手にした富を義母に持ってきてくれた。それも、軍兵を動かさないときは自ら来たが、出撃のときには若い小役人を寄越した。

 「預かってきたぞ」

 小役人は呂蒙の家へ入ってくると、いつも横柄にそう言うのが癖だった。明らかに、見下した態度が見て取れる。

 「それは、わざわざありがとうございます」

 母親が大義を犒(ねぎら)うように両手で受けるのを、小役人は片手でひょいと投げるように渡した。それを呂蒙は、ただの使いがと忌々しげに眺める。

 「ああ、おまえだったな」

 小役人は、呂蒙を見て声をかけた。その目に早くも侮りの色が窺(うかが)えた。

 「死に急いでも、金銭にはならんぞ」

 彼は、そう言うと家を出て行った。取りようでは、呂蒙の身を気遣っているようだ。しかし、次に小役人が訪ってきたとき、真意が判った。その日も彼は以前のごとく、抛るように金子を入れた袋を渡して言葉も投げる。

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「「矜持のため、質の悪い小役人を斬殺したか」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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