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「曹植殿は、わたくしに言いよったりなさりませなんだ」

【119】第二十五章 甄后4

2013年2月15日(金)

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【118】第二十五章 甄后3から読む)

 「好い詩である。それは、張将軍(遼)を歌ったものか?」

 「半分はそうでも、残りの半分は我の夢です」

 「そうか。好い出来だ」

 褒めそやした曹操の笑顔には、武人として、いや、曹公と呼ばれる権力者の陰が消えていた。少なくとも、甄(しん)妃にはそう見える。

 「では、曹丕の詩を披露せよ」

 曹操に促されて、甄妃の夫も詩を朗詠した。

 悪い詩ではなかったが、これまで様々な文章を読んできた甄妃は、全く感動を覚えなかった。そつなく作っているが、ただ事実を時系列に表現しているだけで平凡なのだ。

 ここで次男の曹彰が除かれているのは、彼が辞退しているからだ。初めから自分に文才はないと言い切るのも、潔い態度だ。ただ、彼は武勇には特段の腕を振るうという。

 そういった意味で、曹植は武術を苦手としている。無論曹操の息子であるから、戦場へは出向いた経験はある。だが、いつも陣地の奧にいて、観戦しているだけのようだ。

 一方の曹丕は、何でも小器用に熟(こな)せた。だが、圧倒的な能力に欠けている。先ほど披露した詩が、それを如実に物語っていた。すべてに平均以上の成績を出すが、常に物足りなさがつきまとうのである。

 「まあ、好としよう」

 曹操の評価もその程度だったが、それが跡継ぎの総領を決めかねている原因らしい。甄妃はそのように踏んだ。

 宴が酣(たけなわ)になり、人々が会場内で入り乱れ、一種の無礼講となった。このときばかりは、普段口を利く機会のない者も、多少ぞんざいな会話を許される。しかも、席を自由に変わってもよかった。

 「大変お上手な詩に、感服いたしました」

 「こっ、これは義姉上。畏れ入ります」

 いつもは宮中で擦れ違っても、ただ目礼するだけの嫂(あによめ)と、曹植は初めて口を利いて緊張している。

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「「曹植殿は、わたくしに言いよったりなさりませなんだ」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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