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「まさか、麻沸散ではなかろうな?」

【142】第三十章 孟獲3

2013年3月21日(木)

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【141】第三十章 孟獲2から読む)

 諸葛亮は校尉の報告を、苦虫を噛み潰した表情で聞いていた。捕虜になった者が相手に寝返り、もとの味方に攻めてくる事例は、よくあることだからだ。

 「でも、ちょっと訝(おか)しいんです」

 その校尉が言うのは、攻めてきた者ら全員が全員、もともと蜀の兵だった者たちばかりということである。

 「しかも、蜀を恨んでいる者のごとく、非情に高い士気で掛かってきております」

 「孟獲風情に、教育とか訓練を、し直されたということか?」

 「はい、そういう風にも思われます」

 諸葛亮は、この校尉の返事に茫然とした。蛮族といわれる中南の山岳民族に、蜀という中華の地方であっても、漢人が教育され直すということに、自尊心を潰される思いだった。

 「捕らえた者らを連れてこい」

 諸葛亮は、寝返ったものらに訊きたいことがあった。しかし、連れてこられた者らを見て、諸葛亮は烈しい怒りに駆られた。半開きの目が虚ろで、人を小馬鹿にしているとしか思えなかったからだ。

 「儂の前ではばつが悪いから、妙な小芝居をしおって。許さぬぞ!」

 諸葛亮の怒りに、連れてきた校尉が言う。

 「捕らえてしばらくは、縄を打っても暴れておりました。が、半日ばかりすると、今度はこのような状態でじっとしたままです」

 「わざと、惚けておるのだ。それじゃ、他の捕虜を10人ばかり連れてまいれ」

 諸葛亮の命令で、10人の捕虜が連れてこられた。彼らを目にして、諸葛亮は目を疑った。皆が皆、焦点の定まらぬ目で、廃人のような表情をしていたからだ。

 中には、諸葛亮に向かって、腕を差しのばす者までいる。何か欲しいと要求しているようだ。そうする内に、後頭部を壁にぶつけて暴れ、口から泡を噴き出させる者も現れた。

 「これは、とても芝居とは思えませぬ」

 馬忠が横から口を出したが、それは諸葛亮も認めるところだ。

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「「まさか、麻沸散ではなかろうな?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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