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「阿片を儂に買えというのか?」

【143】第三十章 孟獲4

2013年3月22日(金)

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【142】第三十章 孟獲3から読む)

 「どうした?」

 諸葛亮は、再び男の応え予測をした。それは捕虜どもや、この砦の広間のようすと関係があろう。きっと、忌まわしい余録がついて回るのだ。

 「人にも拠りますが、煙を何度も吸っているうちに、煙なしではいられなくなり……」

 諸葛亮は、その先も判った。煙を吸いたいために、孟獲の命令を肯くようになるのだ。決して、彼の教育の賜(たまもの)ではなかったのだ。だが、ここまで聞いて、諸葛亮は完全に罠に嵌(はま)ったと悟った。

 ショウ(爿/羊)カ(爿/可)郡や益州郡、越スイ(山/雋)郡の反乱鎮圧まではともかく、シン(三水/真)池から南の戦いは、孟獲の掌(てのひら)で泳がされていたかもしれない。

 最初に敵兵を見たとき、蜀兵から奪った鎧兜や武器をそのまま使っていると勘違いしていた。そして次には、寝返り兵だと断定した。だが、こうして事情を判ると、体の良い同士討ちをさせられていたことになる。

 諸葛亮は脣を噛んだ。

 この砦にしたところで、ここまでの孟獲の策戦を教え諭すように、彼が仕組んだ小道具に過ぎない。それは、自分が諸葛亮より一枚上手だと言い募るためだけではない。

 明らかに、取引を持ちかけているのだ。

 諸葛亮がそこまで思い立ったとき、それまで説明していた男が、突然頽(くずお)れた。

 「くっ、く……」

 いわゆる、禁断症状を呈し始めたようだ。それは、諸葛亮にも判ったが、何をどうすれば良いか手立てがなかった。

 それまで応えていた男は、七転八倒し始める。すると、砦の入り口辺がなにやらざわめいてきた。

 「敵の使節が来ました」

 まるで、時間を計っていたかのような頃合いで現れる。こうなれば、通すしかない。

 諸葛亮は、苦しんで暴れている男を、大きな布でぐるぐる巻きにして、連れて行った。

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「「阿片を儂に買えというのか?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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