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「漢帝国が中華の大地からなくなるということか?」

【158】第三十三章 献帝(劉協)5

2013年4月12日(金)

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【157】第三十三章 献帝(劉協)4から読む

 皇后に昇格した曹節の出産から数年間が、漢帝国と魏王国の最後の蜜月であった。それが明確に終わりを告げたのは、正に曹操が病没したときである。

 魏国王の位には曹丕が早々と即き、元号も改めるよう皇帝協へ要請があった。宮廷は、曹丕が必死に、不要の混乱を抑えようとしているのだと思った。

 皇帝協は側近たちに諮(はか)って、『延康(えんこう)元年』なる元号を発する。ここまでは国王の継承に関して、順当な手続であった。いや、地方王の交替にしては、皇室は破格の対応をしたことになる。

 実際、改元などという国家的な公式手続は、縁戚関係などで左右される事柄ではない。それにもかかわらず、皇帝協が魏王丕に動かされたのは、やはり皇后節を含む三姉妹の存在があったからに他ならない。

 だが、これが曹丕による、皇室の権威を弱める最後の詰めであった。つまり、皇帝協は新しい魏王丕に動かされたという印象を、魏国内に与えてしまったのだ。この頃の魏国は、漢帝国と、勢力範囲はほぼ重なっている。

 葬儀、即位、改元が一段落して、魏国から使者がやってきた。

 「主上におかれましては、御機嫌麗しゅう。臣下一堂、恐悦至極に存じます」

 心の籠もらない紋切り型の挨拶をした後、使者が乾いた声で言ったのは、『禅譲の儀式を挙行していただきたい』という要請だった。

 「そっ、それは漢帝国が、中華の大地からなくなるということか?」

 いつかそうなるかもしれぬと思っていた事態だが、皇帝協の声は震えていた。ここまでを思えば、確かに薄氷を踏む思いで皇帝の地位にしがみついていた感がある。

 それらが、音を立てて崩れるのである。

 「主上の領地は、山陽国として確保いたします。したがって身分は山陽国王となりますが、『朕』なる自称はお使いいただきますので、身分は通常の国王の上とさせていただきます。また、新しい皇帝の前でも、『臣協(しんきょう・家臣である劉協の意で、私を意味する)』と宣う必要はなく……」

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「「漢帝国が中華の大地からなくなるということか?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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