『社長復活』担当:PHP研究所 書籍第一部 池口祥司

板倉雄一郎著、PHP研究所
皆さんは、『社長失格』(日経BP社)という書籍をご存知でしょうか?
1990年代、『日本経済新聞』の一面を飾ったり、ビル・ゲイツと会談したり、フェラーリを乗り回したりと、アントレプレナー、そして経営者として名を轟かせていた板倉雄一郎氏。その板倉氏の会社である「ハイパーネット」の創業期、隆盛期、そして倒産までの過程を克明に綴ったノンフィクション作品、それが『社長失格』です。
会社は倒産し、自身も自己破産した板倉氏は、「もう社長はやらない」と本気で考えていたそうです。
しかし、その板倉氏が、再び起業し、仲間と共に挑戦する――その挫折から復活までの過程を克明に描いたのが、今回の『社長復活』なのです。
「挫折」とは、「挑戦」の別名である
私は、この「挫折から復活までの過程」が本書の「肝」になると考えています。
たとえば、私が編集者になりたてのころに担当した『挫折力―― 一流になれる50の思考・行動術』(冨山和彦著、PHPビジネス新書)の中に、次のような言葉があります。
「『挫折する』ということは裏を返せば『挑戦する』ということである」
実際、小心者の私は、挫折が大嫌いであり、したくないと思っています。
でも、もし挫折がなければ、挑戦もないということになり、すべての日本人がそのようなマインドになってしまっては、個人としても、世の中としても、成長・発展がないということになります……。
取材時、板倉氏も指摘していましたが、アメリカなどと違って日本では、「失敗した人間が、再度立ち上がること」を支援する仕組みが不十分であるように思います。その結果、失敗という大きなリスクをとる人間が少なくなる――つまり、チャレンジする人間が少なくなってしまっているのではないでしょうか?
「ナイストライ!」と言いたい
以前、どこかで聞いたのですが、アメリカでは、起業し、チャレンジし、失敗した人間に対して、周りは「ナイストライ!」と声をかけるそうです。それは、「失敗という貴重な経験をした人間を高く評価する文化」が根付いていることを意味しています。その土壌があるからこそ、アップル、フェイスブック、グーグルという市場を席巻する企業が生まれたのではないでしょうか?
『社長復活』の中に、倒産後、板倉氏がメディア出演に対して、躊躇した際の記述として以下のようなものがあります。
最初、ぼくは断ろうと思った。自分なんかがメディアに出て、しゃべっていいのかと不安もあった。というのも、たまたま渋谷で人と会う約束があって、ビアレストランで立ってビールを飲んでいただけで、斜め向こうにいた奴らに、
「板倉だよ、あいつ、呑気にこんなところでビールなんか飲みやがって」
とケチをつけられたりすることがあったからだ。
「お前に迷惑かけたか、馬鹿野郎」
と文句の一つでも言ってやりたいが、そんなこと言えるわけがない。怒りをグッと押し殺してやりすごした。惨めだった。
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