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第1話「申し訳ない。シェールオイルがアメリカを変えてしまったんです」

2013年3月13日(水)

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 前シリーズまでのあらすじ

 会計士、団達也は新技術を使ったエネルギー開発を目指し、仲間たちと会社を立ち上げようと意気込んでいた。
 その仲間とは、中国でエンジンの燃費向上に欠かせない部品「K01」の製造工場を経営するリンダ、その部品を開発した金子順平、マレーシアで研究を続けていた金子を支えた沢口萌、そして上海のリンダの会社で働いていた細谷真理らだ。
 会社立ち上げの資金は、リンダが出すことになっていた。

東京 スカイツリー

 「速すぎる」

 達也は眼下に広がる東京を眺めながら、独り言を言った。サンテミリオンで交わした仲間たちとの約束は、たった半年で吹き飛んでしまったのだ。

 誰が悪いわけでもない。世の中の流れが速すぎるのだ。

 第一の誤算はリンダの父親からの出資が取りやめになったことだった。昨年の9月15日に突然勃発した反日デモの影響かもしれない、と達也は思った。だが、事情は他にあった。リンダの父親は、何度となく外国企業のM&Aを進めていた。今のうちに財産を海外に移すためだ。だが事はうまくは進まなかった。

 「中国人の企業経営に関する考え方が欧米や日本からしてみたら、異質だったってことね。会社を買収しても、中国流のやり方を押し通して、製品やサービスの質を向上するとか、技術革新するとかいったことには積極的ではないでしょ。どうしても社内がギクシャクして、ビジネスが続かない。それで海外ビジネスがうまくいかなくて、ものすごい損をしたらしいの。それで、父から100億円の投資は忘れてくれ、と言われたわ……。あなたには、期待させたわね」

 リンダは電話でそう言って謝ると、こう続けた。
 「それと、UEPCも私の会社にあるロボットをアメリカに引き揚げることになったわ」
 「K01をアメリカで作るんだね」
 「そう、時代が変わったのよ」
 と言ってリンダはため息をついた。

 リンダが言うとおり、時代は猛烈なスピードで変わっている。日豊自動車もまた燃料電池車の開発の先送りを決めた。それはUEPCがK01の内製化を決めたのと、理由は同じだった。

 「団さん、申し訳ない。シェールオイルがアメリカを変えてしまったんです」

 シェールオイルは、頁岩(けつがん)と呼ばれる泥岩の層に含まれている石油のことだ。かつては採掘するのは不可能だと考えられていた。だが、シェールガスで培ったノウハウによって、シェールオイルの取り出しが可能になったのだ。

 「アメリカ全土ではどれだけ埋蔵されているか、見当もつかないそうです。早晩、アメリカ国民は電気自動車には興味がなくなるでしょう」

 「つまり、1950年代の大型ガソリンエンジン車が復活するってことですか」

「熱血! 会計物語~団達也が行く season4」のバックナンバー

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「第1話「申し訳ない。シェールオイルがアメリカを変えてしまったんです」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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