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「益州をまとめるには、何が必要かな?」

【172】第三十七章 蒋エン1

2013年5月7日(火)

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【171】第三十六章 陸遜3から読む)

 「血を見るは、政(まつりごと)に明るきゆえん。つまり、おんみは宰相に相応(ふさわ)しい資質をお持ちということです。牛の角と鼻で『公(こう)』の字になります。必ずや公(貴族の最高位)に昇格なさいましょう。これは、大吉の徴(しるし)です」

 夢占い師の趙直(ちょうちょく)は、そう言うと礼金を受け取って帰っていく。先ほどは、適当な理屈を並べたてたのであろう。だが、蒋エン(王/宛)にとっては、凶夢でさえなければそれでよかったのだ。

 「しばらくは、仕事を干されても仕方がない。果報は寝て待つか」

 蒋エンは呟くと、腕枕して目を瞑った。

 彼は益州(蜀)の成都へ来るまでのことを心で反芻(はんすう)してみた。

 彼の出身地は零陵郡(れいりょうぐん。三国時代は衝陽郡・しょうようぐん)の湘郷(しょうごう)県である。そこは荊州の南(長江右岸)に当たり、比較的平和が保たれていた地方である。

 ところが、彼が役人に取り立てられた頃から、雲行きが怪しくなってきた。それは、官渡の戦いに勝った曹操が中原と河北を統一して、荊州を狙いだしたからだ。牧の劉表が重病になり、後継者争いが勃発した。

 劉表が卒して曹操が軍兵を進めてくると、弟の劉ソウ(王/宗)は直ぐに降服した。だが、長男の劉キ(王/奇)は劉備が擁(よう)して、一緒に長江右岸へ落ちてきた。

 蒋エンは行きがかり上も、劉キを応援せねばならぬと感じていた。

 ここからは赤壁の戦いとなり、劉備と呉の孫権が、曹操を跳ね返した格好となった。

 もっとも、攻め上がるわけにはいかず、南荊州だけが平定されて呉領へ編入された。抵抗勢力をねじ伏せたのは劉備で、その牧として劉キを置くつもりかと、蒋エンは考えた。

 ところが、その最中に劉キは病没し、南荊州は劉備が租借することとなった。その条件は、彼が益州(蜀)へ侵攻して成都を制圧することだ。益州を領有すれば、南荊州は返還する約束がなされた。

 蒋エンには、益州へ行く劉備が、まるで新天地を目指す将軍に思えた。そこで、幕府へ役人として随行させてもらうよう、掛け合いに行った。

 「零陵郡の泉陵で役人をしておりました。なにとぞ、益州への随員にお加え下さい」

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「「益州をまとめるには、何が必要かな?」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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三品 和広 神戸大学教授