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「呉の将来を思うとこの状況は情けなや」

【189】第四十章 諸葛恪4

2013年5月30日(木)

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【188】第四十章 諸葛恪3から読む)

 「父上も、孫覇様にお付きになった方がいいのではございませぬか?」

 長男の諸葛綽(しょかつ・しゃく)は、寄ると触るとそのように諸葛恪へ言い募る。

 「いい加減にしろ。皇太子は孫和様と決まったのだ。孫覇様には、それなりの距離をもって付き合う。太子と公子では、違いがあろう」

 「太子と公子が、違うというのは解ります。なれど父上、ならば、主上(皇帝の二、三人称。ここでは孫権のこと)は、なぜ孫覇様に、皇太子和様と同じ待遇をなさるのですか?」

 詰まるところ、この部分が家臣たちに動揺をもたらせているのである。皇太子と公子では、身分に格差があって当然である。ところが孫権は、皇太子和を東宮(皇太子の住まい兼政治的な事務所)へ入れたのはいいが、孫覇にも似たような建物を用意したのだ。

 このような事など、普通は考えられない。

 皇帝権にしてみれば、皇太子和と同じくらい、公子覇に愛情を注いでいると言いたいのだろう。だが、群臣の解釈や思惑は違ってくる。いや、曲解まで加わってくるのだ。

 「故孫登様は優秀だった。孫和様も優秀だが、双方を比べると、年の差もあろうが、見劣りは否めない」

 「そうです。主上はそれが御不満で、一層のこと、年少の公子覇様を、将来皇太子としてすげ換えるおつもりではないでしょうか?」

 「きっと、さようです。ある日突然、皇太子和様を廃位して、公子覇様が皇太子に冊立などということも」

 「充分に、ありえましょう」

 「ああ、そうでもなければ、同じような屋敷を建てて、同じように執務させる意味がございませぬからな」

 宮廷での噂話は、尾鰭(おびれ)に尾鰭が付いて広まっていく。家臣たちの思考の先は、ここに窮まっっていくのだ。つまり、いつかは公子覇が皇太子から呉の皇帝になるという幻想を抱いたのである。

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「「呉の将来を思うとこの状況は情けなや」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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