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「あのお方を皇帝にするのではなかった」

【233】第四十九章 孫晧5

2013年8月2日(金)

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【232】第四十九章 孫晧4から読む)

 『蜀が滅びれば、軍事力の均衡が崩れたと、誰の目にも明らかである。にもかかわらず力ずくの鬩(せめ)ぎ合いをすれば、滅びの一字があるだけだ。賢明な君主なら、無駄な血を流す愚は避けるべきであろう』

 魏からの降服勧告の内容は、ほぼそのような意味合いを、くだくだと並べ立てるものだった。皇帝晧は使者の目前で、それをあっさり破り捨てた。

 「今回は、斬らずに帰してやる」

 彼はそう言うと、背を向けて広間を去る。それと同時に、濮陽興や張布らが、使者を労(いたわ)るように側へ寄っていった。

 「近々説得するので、司馬相国へよしなに」

 そう言われれば、まるで皇帝晧が能無しのように聞こえる。彼はそれも腹立たしく思った。そして、甘露元年(265年)の初めに、答礼の使者4人を出すというと、含み笑いをしながら見送ってやった。

 「中の一人、徐紹は、魏の人々と話が合います」

 濮陽興がそのように説明すると、皇帝晧は呼び戻せと怒鳴り出す。早馬が仕立てられ、徐紹が戻ってきた。すると、魏の反間として処刑される。周囲は、ただ驚くだけだった。

 皇帝晧は、魏の存在を思うと、かつての異母兄(孫徳)の顔が浮かんだ。彼から幾度も意地悪を受けたが、あの頃は堪えていた。だが、今になって無性に復讐したくなる衝動に駆られた。呼び立てるよう命じたが、最近他界したと報告が返ってきた。

 それならばと、景帝(孫休)の朱太后の位を落として僻地への異動を言い立てて、自害へと追い込んだ。後日、もと皇太子の孫ワン(雨/單)も、同様な運命を辿ることになる。

 「あのお方を、皇帝にするのではなかった」

 濮陽興と張布が、あるとき顔を合わせて後悔を述べあった。するとそれを注進するものがあって、2人は即刻処刑された。こうなると、もう暴君の独裁でしたい放題だった。

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「「あのお方を皇帝にするのではなかった」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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