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ウルトラセブンはぼくらの「文化」だ!

『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』/『音楽と音楽家』

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2013年5月15日(水)

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ウルトラセブンはトラウマだった

 ぼくは1964年12月生まれなので、1967年10月から翌68年9月という「ウルトラセブン」の本放送時には2~3歳。ちょうど同じ頃に放送されていた「黄金バット」や「パーマン」のほうが好きだったようだ。

 だから、セブンが記憶に残っているのは、おそらく小学生になってから見た再放送によってではないかと思われる。

 いちばん強烈だったのは、ご多分に漏れず、第39話・40話「セブン暗殺計画(前篇・後編)」(注:「篇/編」の字は放送時のママ)。自称「いかなる戦いにも負けたことのない無敵のガッツ星人」という触れ込みどおり、分身の術でセブンを翻弄してエネルギー切れに追い込み、あろうことか空中に浮かぶ十字架に磔(はりつけ)にして、全国の子どもたちを絶望の底にたたき込んだ鳩頭の宇宙人、「ガッツ星人」の回だ。

 夕日に照らされた山上の磔刑図──。あれほど恐ろしく、衝撃的で、しかも美しい映像を、いまにいたるまでぼくは見たことがない。

 それからというもの、ぼくは「十字架」を見るのが異常に怖くなった。とくに、友達の家への行き帰りの途中にあった教会の庭。木立のあいだから白い十字架が垣間見えて、とくに夕方暗くなってから帰路を急ぐときに見てしまうと、どうしてもあのセブンの磔刑図が思い出され、心が恐怖であふれんばかりになる。でも見てはいけないと思うと、かえって目がそちらへ行ってしまう。全速力で自転車のペダルを漕いで庭園の横を駆け抜けながらも、横目でちらっと白い「それ」を目に焼きつける──それが小学生のある時期、ぼくに取り憑いて離れなかったオブセッション(妄執)であり、長じてのちも容易に消えることのないトラウマとなった。

ウルトラセブンとシューマン?

 「ウルトラセブン関係の原稿を書いてみたんだけど、いちど読んでもらえないかな」

 時は流れ──。昨年(2012年)5月、前の職場の先輩がひさしぶりに電話をくれた。話を聞きながら、脳裏に浮かんでいたのは、しばらく思い出すことのなかったその「白い十字架」だった。

 ぼくと共同経営者である鈴木茂は、ともに音楽之友社の出身で、2007年にアルテスパブリッシングを創業した。「アルテス(artes)」というラテン語は、英語にすれば「アート(art)」の複数形にあたる。「リベラル・アーツ」というときの「アーツ」だ。「技芸全般」=人間のわざをすべて対象にしたいという思いから社名に冠したものだが、やはり約20年間、音楽専門の出版社で本や雑誌をつくってきたという経験から、創業以来の刊行物の9割以上は音楽書だ。

 「ウルトラセブンの本?」──公私にわたってお世話になった先輩からの話だったが、「うちは基本、音楽出版社なんで」といって断ることになるだろうとも思った。しかし、ひさしぶりに会って積もる話も、という気持ちもあって、けっきょく原稿を持ってきてもらうことになった。

コメント5件コメント/レビュー

記事自体に異論は唱えませんが「思えば、ヨーロッパ全土の教会や修道院で同じ聖歌を歌う必要から記譜法(楽譜を記述する方法)が発展し、それがクラシック音楽を生む母胎となった。」という部分には違和感があります。東側の教会は精緻な音楽理論を持ち、教会内での音楽の統一性を重視したことは知られています。当初の教会において音楽は教会の重要な一部でした。カトリックだけが教会での聖歌の統一性を保つことが出来なかったのです。オペラと同じメロディを使ったモーツアルトのAgnus Deiなどというものは、ほかの教会には存在しません。それはそれでとてもきれいなものだとは思いますが。(2013/05/16)

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いただいたコメント

記事自体に異論は唱えませんが「思えば、ヨーロッパ全土の教会や修道院で同じ聖歌を歌う必要から記譜法(楽譜を記述する方法)が発展し、それがクラシック音楽を生む母胎となった。」という部分には違和感があります。東側の教会は精緻な音楽理論を持ち、教会内での音楽の統一性を重視したことは知られています。当初の教会において音楽は教会の重要な一部でした。カトリックだけが教会での聖歌の統一性を保つことが出来なかったのです。オペラと同じメロディを使ったモーツアルトのAgnus Deiなどというものは、ほかの教会には存在しません。それはそれでとてもきれいなものだとは思いますが。(2013/05/16)

『ウルトラセブン』を、私は何歳の頃に見ていたのか、はっきり記憶はないが、再放送されるたび、繰り返し見ていたように思う。つい数年前もCS放送で見た。話の内容はほとんど全部記憶しているのに、それでもつい引き込まれて見てしまうのだ。モロボシ=ダンは、私の初恋の男性であり、私の恋愛の傾向性を決定づけた存在である。なのに、なぜ、「音楽」の記憶が抜け落ちているんだろう? 自分自身もピアノを習っていたにも関わらず、ストーリーに関心が偏り過ぎていたのだろうか。だが、青山&木村両氏の心情には共感できる。当のシューマンの曲が含まれていたかどうか定かではないが、リパッティのピアノの音に、心が震えた経験があるからだ。もう一度、『ウルトラセブン』を見直してみたいと思う。ついでながら、第12話が再び日の目を見ることも願っている。(2013/05/16)

素晴らしい記事でした。「トムとジェリー」の音楽も、大人になってから思い返してみて、クオリティの高さにびっくりしました。円谷氏がクリスチャンとは知りませんでした。短い記事の中に、有益な情報がもりだくさんでした。ありがとうございました。(2013/05/15)

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