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「皇帝とは、あまねく世に君臨するのだ」

【最終回】第五十章 司馬炎5

2013年8月9日(金)

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【237】第五十章 司馬炎4から読む)

 宮女を面白半分に殺しては、引きこんだ川へ落とすという、呉帝孫晧の耳を塞ぎたくような暴虐の数々を聞く度に、洛陽の宮廷では出兵の機運が高まった。

 賈充(かじゅう)は常から出兵に反対していたので、遂に皇帝炎から厳しい叱責を受けた。

 「皇帝とは、あまねく世に君臨するのだ。地方に非道な行いをする者があれば、それを正すが皇帝の倫。なのに、なぜ邪魔をする?」

 せっかく娘の南風を皇太子衷の正妻として片付けたのに、皇帝炎の怒りが解けず、廃位されては一大事である。いや、実際、性格の悪さから、そうなりかけたこともあった。

 彼女は嫉妬深く、寵愛を受けて妊娠した姫妾を、刺し殺すような行為に及んだからだ。

 「我が先陣を切りましょう」

 賈充は娘のために、遠征隊の主将となって呉へ遠征した。呉の庶民は、まるで援軍を見るような面持ちで晋軍を迎えている。つまり、皇帝晧に忠誠を誓う者など消えたのだ。

 呉の建業はあっさり落ちて、帝位を剥奪された孫晧や一族、それに後宮の美女連も洛陽へ引き立てられた。

 咸寧6年(280年)、ついに三国時代に幕がおり、太康と改元された。こうして、皇帝炎の心の重荷が解放された。だが、内憂が新たに発生している。

 皇太子衷は、どう見ても利発とは程遠い。すると、頭脳明晰な斉王攸を担ぎ出そうという連中が台頭する。本人も、輔弼(ほひつ・君主の政治を助けること)を願っていた。

 「このままでは、主上が御万歳(崩御)の後は、衷様はお立ちになれませぬ」

 反対意見は、賈充の息がかかった者らだ。彼らは、司馬攸(叔父)が必ず皇太子衷(甥)に取って代わると注意する。皇帝炎は不安に駆られ、亡父との約束を反故(ほご)にする。

 「斉王攸は、都督青州軍事に任命する。早々に任地へ赴け!」

コメント9件コメント/レビュー

毎日、楽しみに拝読しておりました。結構知っているつもりでしたが、私にとって新たな情報も多く、大変興味深い内容でした。どうも有難うございました。終わってしまって残念です。新たな連載を期待しております。(2013/08/12)

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「「皇帝とは、あまねく世に君臨するのだ」」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

毎日、楽しみに拝読しておりました。結構知っているつもりでしたが、私にとって新たな情報も多く、大変興味深い内容でした。どうも有難うございました。終わってしまって残念です。新たな連載を期待しております。(2013/08/12)

どなたかがコメントしてましたが当方も同じ気持ちでございます面倒な長編を読みやすく掲載して頂き日々のちょっとした楽しみでした!ありがとうございました。(2013/08/10)

毎日の連載お疲れ様でした。毎回楽しみにしていました。特に三国志の後の話を知ることができて面白かったです。各人物からの視点も新鮮でした。(2013/08/09)

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