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第8話「無借金経営というと聞こえはいいけど、ボクは賛成しないね」

2013年6月19日(水)

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ロンドン

 リンダはヒースロー空港で預けた荷物を受け取ると、タクシーでロンドンのシティに向かった。親友のジェームスと真理に会うためだ。半年前までなら、肩で風を切っていたリンダも、このところ元気がない。金のなる木だったK01の生産ラインは、UEPCの意向でアメリカの自社工場に移管された。頼みの父親も、最近の不景気で不動産投資の赤字が続き、かつての勢いはない。リンダは高額の退職金と引き替えに従業員を解雇し、UEPC上海を解散した。このままずるずると過去のビジネスを続けるつもりはない。

 リンダは売れる資産はすべて売って現金に換え、新たな事業に投資しようと考えていた。現金を使って現金を増やす。投資の形態がどうであろうと、ビジネスの本質は変わらない。

 投資には、投資家の哲学が色濃く映し出される。相手を破綻させて儲ける投資もあれば、ウィン・ウィンの関係を第一に考える投資もある。リンダはウィン・ウィンという言葉を聞くだけで、不愉快になる。詭弁に過ぎない、と思っている。今回のUEPCの一件も、そうだった。UEPCからロボットを借り受けた工賃仕事などすべきではなかった。すべて自己資金で賄い全権を握るべきだったし、達也も同意してくれたはずだ。UEPCとのしがらみを考えすぎたことが、敗因だった…。

 リンダは次のビジネス展開を考えていた。達也は金子と組んで燃料電池と水素製造装置ビジネスに参入しようとしている。燃料電池が社会インフラを支えるまでになるには時間がかかるものの、地域や家庭単位でみれば、確実に次世代の主役だ。手元資金のすべてを、この事業に投資するのだ。

 リンダは将来ビジョンを投資のプロであるジェームスに聞いてもらうため、ロンドンにやってきたのだった。

 「あと30分で着くわ」
 リンダはタクシーの中からジェームスに電話をかけた。

 「わかった。マリもきみと会えることを楽しみにしているよ」
 「私もよって、伝えてね」
 そう言ってリンダは電話を切った。

エジンバラ投資会社

 「ボクに相談って? きみはビジネスのプロだし、会計も、経済も、ダンと競うだけの能力がある。なのに、何をボクに聞きたいのかな?」

 ジェームスはマグカップを持ち上げて、コーヒーを飲んだ。

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「第8話「無借金経営というと聞こえはいいけど、ボクは賛成しないね」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長