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完璧な美しさを持つ女性とエワルド卿の悩み

アンドロイド/サイボーグ考(6)~リラダン『未来のエヴァ』を読む(1)

2013年7月2日(火)

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ピュグマリオン幻想

 さてこれまで、ピュグマリオン幻想の八つの特徴を検討してきた。それらをまとめてみよう。

 第一の特徴は、乙女はピュグマリオンの女性嫌悪の結果として生まれたということである。ピュグマリオンがふつうの女性を好きになれるのであれば、人形を作りだす必要はなかったのである。

 第二の特徴は、この女性嫌悪のために、ピュグマリオンは独身男性の生活を維持していたことである。この人形は「独身者の機械」なのである。

 第三の特徴は、ピュグマリオンが彫刻に巧みだったことである。乙女は彼の作品であり、この才能なしでは、乙女を作りだすことはできなかったのである。

 第四の特徴は、ピュグマリオンが望むのが成熟した女性ではなく、まだ男性を識らない乙女だということだった。

 第五の特徴は、ピュグマリオンの乙女たちは、男性を知らないために恥じらいを失っておらず、それが精神的な価値の高さを表現するということだった。

 第六の特徴は、ピュグマリオンにとって、乙女を生み出すのは芸術家として、娘を生むような意味をもっているということである。乙女と夫婦になるピュグマリオンは娘と近親相姦をするような関係にある。

 第七の特徴は、ピュグマリオンにとっては乙女は自分の作品であり、自分の分身であり、自分の才能が化身したようなものだということである。

 第八の特徴は、ピュグマリオンは死せる人形に生命を吹き込んだのであり、乙女は身体と精神をもつ女性として、子供を生むことができるということである。

『未来のエヴァ』の構成

 これらのピュグマリオン幻想は、その後のアンドロイド幻想の重要な源泉となった。これからしばらく、フランスの一九世紀後半に活躍したオーギュスト・ド・ヴィリエ・ド・リラダン伯爵の幻想的な小説『未来のエヴァ』(一八八六年)をお読みいただこう。作中に登場する人造人間に「 アンドロイド」という名称を初めて使った作品と言われるこの物語は、独身男性の機械としての女性のアンドロイドがいかにして製造され、いかにして男性を魅惑したかという物語である。

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「完璧な美しさを持つ女性とエワルド卿の悩み」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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