• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第11話「賃金を動機付けにして働く人には興味がないんです」

2013年7月31日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 団さんはどうしてるのかしら…。真理は、無性に達也のことが気になった。フランスのボルドーで会ったきり、音信は途絶えている。正確に言えば、真理から何の連絡もしていなかった。嫌われたのかもしれない、と真理は思った。

 (自分勝手なんだから…)

 達也のことではない。自分自身をそう思っている。短大を出て、ジェピーに入社した時の仕事といったら、伝票入力や経理事務だった。達也との出会いは、真理の運命を変えた。なのに、達也を避けてロンドンに移り住み、今ではジェームスの片腕として金融の仕事をするまでになった。

 なぜ達也のことが気になるのだろうか。真理は冷静になって考えようとした。ヨーロッパの人たちにとって日本は遠い東の果ての国。近隣の国々に次々と追い越されたかつてのエリートなのだ。

 ただ。だが最近は様子が変わった。製造業の復活。その成果を祝うように富士山が世界文化遺産に登録された。明るいニュースがフランスの新聞を飾りだした。

 (このままで良いのだろうか)

 真理は自問した。真理にとって最大の関心は、知恵と努力で価値を創り出す「もの作りの会社」だ。どうしたら価値の生成を会計で表現できるであろうか。真理は事あるごとに考えてきた。だが今の仕事は、資金をかき集め、それを投資して、利益を吸い上げる金融業だ。他人が作った価値を横取りする仕事ではないか。どうしても、真理には今の仕事が好きになれない。

(会いたい…)

 強烈な達也への思いが真理を襲った。会うだけでなく、達也のパートナーとして新たなビジネスを立ち上げたい。

 真理はテーブルに置かれたiPhoneを引き寄せて、連絡帳の達也のアイコンをクリックした。

 聞き慣れない発信音が10秒ほど続き、電話はつながった。

 「団さん?」

 「真理ちゃんか。元気そうだね」

 いつもの達也の声だった。

 「東京ですか…」

 「さっきバンコクに着いたばかりなんだ。タイのソムチャイとマレーシアのタンは覚えているよね。明日、彼らと合流することになっている」

コメント0

「熱血! 会計物語~団達也が行く season4」のバックナンバー

一覧

「第11話「賃金を動機付けにして働く人には興味がないんです」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

全体の2~3割の人でも理解し、動き出してくれれば、会社は急速に変わります。

中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長