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アンドロイドとロボット

アンドロイド/サイボーグ考(14)~リラダン『未来のエヴァ』を読む(9)

2013年8月27日(火)

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ロボットの特徴

 チャペックの『ロボット』との比較をつづけてみよう。ハダリーもロボットも、人間が製造したものである。当初のロボットは、人間とまったくそっくりに、感情も知性ももつものとして企画されたが、実現したのは、人間そのままでは、たんに労働するための機械である。それでも近代技術によって、人間よりもすぐれた知性をそなえた存在である。ただし、いかなる感情ももたないとされている。「自分の意志をもたないのです。情熱もなければ、歴史もなく、魂もないのです。……ロボットは何も愛することはありません。自分すらです」[1]

 身体構造は、人間とはまったく違う素材を利用してだけで、人間とそっくりである。どうやらふつうに食事もするし、排泄もするらしい。「あの連中はパイナップルであろうと、藁であろうと、なにを食わせたって同じなんです。味覚というものが全然ないのですから」[2]

 技術の進歩と量産によって、生産コストは安くなっている。「服を着せた一体が一二〇ドルなんですから、一五年前には一万もしたのですよ」[3]。消耗品であり、量産される。「いつもある一定数の不良品を除外すれば、一日に一万五千体です」[4]。しかもロボットが工場でロボットを生産するのである。

ハダリーの特徴

 これにたいしてハダリーは、素材は金属製である。この意味では現在考えられているロボットに近い。ただし高度な技術と金属を使っており、生産コストはきわめて高く、貴重品である。エディソンが、ハダリーが人間が甲冑をかぶった存在ではなく、金属でできた機械であることを示すために、エワルドにハダリーの身体を開いてみせる場面がある。機械が自分の身体が開かれることに恥らう奇妙なエロティシズムのあるその場面をご紹介しよう。エワルドは、ハダリーの住む地下の洞窟を訪れ、ハダリーと直面している。そしてどこか奇妙な身振りをしていることに気づいたところからお読みいただこう。

******

 「どこか苦しそうですね」とエワルド卿は語った。彼はこの形而上学的でありながら、しかも現実の衣をまとっている幻想的な存在を眺めていた。真剣な好奇心を抱きつつ、心を奪われているようでもあった。
 「いいえ、彼女はこれから生まれようとする赤子の格好をしているのです。生きることを前にして、額を隠しているのです」
 沈黙の一瞬がすぎた。

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「アンドロイドとロボット」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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